2006年7月の投稿

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投稿者:どろ
日 付:2006.7.26

スパイクさん、こんにちは。本日のニュース解説に関連して、自衛隊専門紙「朝雲」のコラムを思い出しました。(以下引用)

朝雲寸言2006/7/20付

戦争を止めさせるには、制裁、報復といった心理的、物理的強制か、または利益誘導という手段がある。北朝鮮をめぐって国際社会はここ数年、制裁か利益誘導かで議論してきた。今回の国連安保理決議は、「次は制裁」という一種の脅しを含んだ強い警告となったが、北朝鮮は、直ちにその受け入れを拒否した。
まして、「戦争」が長い歴史的怨念に基づくものであれば、多少の脅しや利益誘導で片づくものではない。小泉総理が中東訪問時に示した「平和と繁栄の回廊」構想は、日本を仲介に当事者の話し合いによる和平と経済復興の道筋を探る「利益誘導」型の和平プランだ。

だが、総理がイスラエルを訪問している最中に、同国によるレバノンへの攻撃が始まった。これを日本外交の甘さとか失敗というのはたやすいが、戦いであれ和平であれ、成功するには理性とタイミングが要る。タイミングが悪くとも、和平を訴え続けることは無駄ではない。

サミットでも、世界のリーダーがこぞって中東、北朝鮮への懸念と自制を訴えた。だが、理性はしょせん、局外者の理性であって、怨念に凝り固まった当事者には通じない。「義理がすたればこの世は闇」というが、理性が沈黙すれば世界が闇となる。
理性の声は明白だ。ミサイルによって利益は受られない、テロが勝利することはない、そして、テロに「戦争」をもってこたえるだけではテロはなくせない。(引用終わり)

>理性が沈黙すれば世界が闇となる。
>理性の声は明白だ。ミサイルによって利益は受られない、テロが勝利することはない。
>そして、テロに「戦争」をもってこたえるだけではテロはなくせない。

まことにそのとおりだと思います。

先日竹島で韓国が海洋調査を行ったときも「朝雲」はこう書いていました。(以下引用)

(海洋調査を行う)韓国の調査船「ヘヤン」2500トンに対して、海上保安庁は3000トンの巡視船「大山」を出して牽制する。

韓国海洋警察は、4月のように多数の警備艦を派遣せず、1〜2隻の警備艦を随伴させると見られている。
日韓のコースト・ガードは、互いに事態を紛糾させないよう細心の注意を払おうとしている。どちらも力づくの紛争にはしたくないのだ。

実力組織は「政治の道具」でありつつも、政治の行き過ぎに巻き込まれまいとする。

片や政治家は海を挟んで声高に相手を非難し、現場はリスクを背負って苦労する。

“勇ましい政治”が紛争の解決に役立たないことは歴史が教えている。(引用おわり)

自衛隊の中で語られているジョークですが、「自衛隊は日本最大の反戦団体だ」というのがあります。自衛隊の最大の存在意義は「抑止力」、戦争を未然に防ぐのが自衛隊の役割だから、という意味です。
しっかり防備を固めることで相手国に侵略意図を起こさせないこと。
武力行使を必要としない環境づくりが自衛隊の任務だと。
現帝京大学教授で元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之元陸将はこう語ります。
「武力を使わねばならなくなった時点で、自衛隊の任務は半分失敗したようなもの。」

その主張の当否はともかく、自衛隊ですらこのように戦争を避けることを第一義的に追及しているのならば、ましてや政治の側はお互いに緊張を緩和し、相互理解を進め、敵愾心をあおらないようにするのが一番の役割に違いありません。

このところ、その役割が逆転しているんではなかろうか。
「軍人」の方がよほど冷静で理性的であるように見えるのは、戦争というものをリアルに見つめているからでしょうか。
「敵地攻撃論」などの勇ましい意見には、リアリティが根底的に欠如していますからね。
軍事を知らず、戦争を知らず、よってその恐ろしさを深く考えもせず、尚かつあろうことか情報操作まがいのことをしてまで対立をアジテートする政治は、とても危険だと思います。

 一般的には軍人よりも政治家が開戦を決める場合が多いですね。例外もあり、湾岸戦争でのパウエル統合参謀本部議長が早急に停戦を主張したために、イラクの自由作戦が誘発されるようなケースもあります。これは変則的な事例だと思いますね。

 額賀擁立は、自民党内にテポドン脅威論で総裁戦に勝てるという近視眼的な考えがあり、近隣諸国の反応をまったく考慮していないことの証拠だと思います。自衛官には訓練に励んでもらい、面倒なことは政治が一切を引き受けるという態度が必要です。青年将校風の青臭くて先鋭的な国防論ばかり聞こえてくるのは困ったことです。誰かこれにパラダイム・シフトを起こすような政治家はいないのでしょうか?

 額賀氏の擁立はまず間違いなく失敗します。中国や韓国の反発だけでなく、日米安保条約の枠組みを超えた敵地攻撃論をアメリカが認めるはずがないからです。(スパイク)

投稿者:どろ
日 付:2006.7.19

 スパイクさん、こんにちは。どろです。
 7.19スパイクさん論評の中で触れておられる朝鮮日報の発表ですが、私は朝鮮日報の記者が何かを勘違いして一部の数字を10倍にしてしまった可能性を考えました。

>韓米両国の情報当局はまた、5日に発射されたテポドン2号は発射から42秒後に突然爆発したのではなく、発射29秒後にトラブルが発生し始め、ミサイルの一部から炎が発生して正常の軌道から外れ、42秒後に完全に爆発し四散したという暫定的な結論を出す方向であることが分かった。

 通常の人工衛星打ち上げならば発射28秒後には秒速4.9Kmに達し、第一弾ロケットを切り離す段階だそうです。
 29秒後ならテポドンは第一弾燃料を使い果たし、とっくに大気圏外ですよね。

 ビッグ氏情報では0.5Kmでトラブルが発生したそうですが、これは加速度(28秒後に4.9Kmに達するならば175m/S2)から計算すれば約2.4秒後になります(t=(S÷1/2gのルート)。Sは飛距離、gは加速度。)。
 韓国情報の29秒は単位を10倍間違えているのではないかと思うのは、この点が根拠のひとつです。
 ちなみに2.9秒後ならばトラブル発生地点は0.74Km地点となります。

 二つ目の推測根拠は落下(爆発)地点です。
 2.9秒時の到達速度は508m/s。これが最高速度で、あとは加速できなかったと思います。速度を逓減させながらフラフラと放物線に近い軌跡を描いて落下したのでしょう。
 韓国情報でいう「発射42秒後の爆発」まで残り39秒です。
 最終速度が不明ですが、一応0として加速度を計算すれば?13m/s2。これから飛行距離を求めれば約9.9Kmです。すると8.4Km先に落下したというビッグ氏の数字に近いものになります。
 落下と同時に残燃料が激しい爆発を起こしたとすれば両社の発表に矛盾はありません。

 こういうことで、私は朝鮮日報が韓国軍から情報を受け取る際に何らかの誤解があり、一部の数字が10倍になった可能性があると思います。単位を一桁間違えるのはよくあることですし。
 まあこの推測には、ちょっと都合良く数字をあてはめすぎの点もありますので、あんまり信用して貰っては困りますけど(^_^;)

 確かに、マスコミも情報機関も、人から聞いた情報の伝達をやっているわけで、その過程で誤りが生じることはあります。しかし、この件では韓国筋の情報は最初から不正確なことが多かったので、私は韓国軍情報部の考え方に問題があると思っています。

 テポドン2の1段目の燃焼時間はglobalsecurityのデータでは最大で130秒です。日本のH-IIも1段目の燃焼時間はこれに近い数字です。また、テポドン2の最大速度は秒速0.44kmだったとビック氏から聞かされているので、その数字はやや大きすぎるように思います。

 空中分解してから2分間飛行したのなら、1段ロケットは燃料のほとんどを使い切って墜落したと考えた方が合理的です。当初、私も1段目は大爆発を起こしたと考えましたが、現在はそうではないと考えています。ロシアは燃え切らなかった燃料による海洋汚染を心配しているようですが、2段目と3段目はすぐに落下したようなので、海に落ちたとしてもそれほど遠くではないように思えます。落下した部分が爆発したかどうかは分かっていないので、燃料の漏洩による環境汚染が起きたかどうかは分かりません。


 北朝鮮のロケットはエンジンに問題があるのはテポドン1の発射映像を見ても、炎や煙が非常に小さいので、推力不足を感じます。補助ブースターがあり、重量も違うH-IIと単純に比較できません。もっとも、テポドン2は重量そのものが不明ですが、映像の印象から言わせてもらうと、あまり遠くまで飛べないように見えますね。(スパイク)
投稿者:どろ
日 付:2006.7.18

 ビッグ氏の情報は時々刻々と更新されているのですね。発射当日に発表した情報をまるで更新しないでいる防衛庁とはえらい違いです。それにしても防衛庁とビッグ氏情報に大きすぎる差違があるのがどうしてなのか、気になります。

 防衛庁発表では午前5時頃に発射されたのはテポドン1発だとされています。ところがビッグ氏分析では午前5時頃に発射されたのは4:59と5:01の2発で、後から発射されたのがテポドン2ということです。そうなると防衛庁の発表では4:59に相当するミサイルが欠けています。以前スパイクさんが“韓国軍当局はテポドン2が空中分解後、7分間飛び続けたと発表しており、これについて、米国防総省は韓国は別のミサイルと混同している可能性を指摘した”と書いておられました。それが4:59のミサイルだとは考えられないでしょうか。すると防衛庁はそのミサイルの探知に失敗したことになります。

 逆に防衛庁が発表しているミサイルがビッグ氏リストにありません。更新前は7時30分のがあって8時30分のがなかったのですが、更新後は逆になっています。いずれにせよビッグ氏側に一発足りないのは同じ事です。欠けているのを補えば、午前中に発射されたのは6発ではなくて8発となります。もしもこれが正しければロシア情報に近くなってきますね。

 ところで北朝鮮を非難する日米ですが、イスラエルのやりたい放題は放置しています。このまま対立がエスカレートすると、ゴラン高原の陸自派遣部隊は大丈夫なのでしょうか。
小泉首相は近くまで行っておきながら派遣部隊の激励に行かず、言及さえしませんでした。送り出すときは鳴り物入りで出しておいて、政治目的を達すれば政治家は派遣隊員の苦労や危険など知らん顔です。こんなのはいつものことですが、自衛官の命が政治目的に利用されていると思うと隊員が可哀想でたまらなくなります。

 4:59に発射されたという3発目の存在はまだ不確かな部分があるようで、最初は「3」と発射された順番を記載していたのが、いまは「X」となっています。4:59の発射があったとすれば、韓国軍がテポドン2と混同したことは大いにあり得ることです。あの一覧表は報告があったものを全部取りあげているようで、ビック氏自身は疑わしいと感じているものも含まれています。7:30と8:30の食い違いは、おそらくビック氏自身も混乱していたため、書き間違えたのだと思います。ビック氏は発射後一週間のことを「大混乱」と表現していました。国防総省は発射されたミサイルは全部で7発としています。

 それから、BBCが報じた戦闘状況のイラスト・マップを見ると、目下のところ、両者ともゴラン高原周辺を綺麗に避けていることが分かります。ゴラン高原はシリアとイスラエルが領有を争っているので、今回の紛争には直接関係がないのだと考えます。(スパイク)

投稿者:Meifumadoh
日 付:2006.7.16

こんにちわSpikeさん。初めてお便り申し上げます。Meifumadohと申します。神浦さんのJ-RCOM以来ずっとお読み致しております。貴サイトの深い視点、豊富な知識、センスにいつも感嘆致しております。

さて、こちらでも今回のミサイル問題に関し、日本政府の拙速で近視眼的な強硬ぶりに対する苦言を多くお見受け致しますが、私はあれらは、所詮は国内向けのパフォーマンスに過ぎないと考えております。一部海外誌あたりからもそのように見透かされてしまっていますが。もっとも、大多数の国民は多分、政権の大本営発表とマスコミに煽られながら、これからもずっとキモチ良く踊らされたい…と願っているんではないでしょうか。

国際政治を自陣営の権益拡大の為の具として利用し、多くの日本国民もまた、閉息した社会の中で鬱屈した自意識を慰撫する具としてそれに淫している。しかも、内閣支持率や次期首相アンケなどを見ると、そんな浅はかな手口が今の所ちゃんと成功を収めてる、という訳で、不健全と言うかグロテスク極まりない状態だと思います。

現政権のアジア外交は、そういった選挙民向けの「ネタ」としての面ばかりが見えます。特に北朝鮮問題は、ウラの北朝鮮利権でズブズブな自民党幹部あたりが、実行する気の無いままちょいと強硬ぶって「キゼンタル」だの「センセイコウゲキ」だのと吠え立てさえすれば、御用学者やネット民や扇情雑誌が「討つべし」「やるべし」と思考停止のままわめき立て、無党派の選挙民が拍手喝采…というお寒い現状です。北朝鮮問題は、今や誠に便利でいて無責任な、与党専売の「政治資源」と化しています。言わば与党支持率浮揚の「打ち出の小槌」です。

本当は、周辺各国と一致協力しない限り、あの異常な独裁国への真の策はない、と解り切っている話しなのでしょうに、現政権もその次も自らそれを封じ込め、それと比例する形で、国民は無思考にその場限りの空疎な支持をする…という異常な図式です。

これでは、拉致も安全保障も、真に国益にかなった真摯な形での解決を図ろう、とは政府も国民も誰も望んでいないかのようです。その場受けの勇ましくて空虚な駄ボラをいかに飛ばすか競い合ってると言う状態で、まるで自称「愛国者」たちが嬉々として騒ぐ草刈り場です。これではこの国際問題は、与党にとってこの上も無くオイシいネタとしてただただ体制と利権とに恣意的に利用され果てしなく先送りされていくだけです。結果、金成日の独裁殺人鬼王朝は温存、一番の被害者である北朝鮮の一般の人々はずっと今の生き地獄に留め置かれ続けるのでは…。

思えば、さきの太平洋戦争はとどの詰まり、近視眼的な私利・省益・既得権益にのみ突っ走った我が国の国家体制が、自ら大きく掲げていた空疎なスローガンの辻褄合わせの為に対英米開戦へ走った…という側面があった気がします。真の目標は戦争で連合国軍に勝つ事などでは無く、本来の下心は別の所にあったという形です。それと同様、現政権首脳たちがアジア敵視・蔑視を押し進め、そしてそれと表裏一体になる形で世に情報操作による偽の危機感や浅はかなタカ派愛国心や体制妄従の風潮を垂れ流しているのは、別段すぐに対外武力行使がしたい訳では無く、結局はそうやって国民を空虚なキモチイイ思考停止に追いやったその隙に、影でコソコソとしかし堂々と強圧支配体制を築く裏の魂胆があるんだろう、と私は思っています。公教育現場での愛国心・日の丸・君が代強要や、自衛隊官舎への反戦ビラ撒き有罪判決、共謀罪騒動などなど、昨今のこれら薄気味悪い動きは皆その一環だと拙考致しております。

そこで私は、貴サイトのような冷静で理知的な場でお話をお聞かせ頂き、世の中の一時の喧噪に流されないよう、せめて自らを戒め続けたいと思います。

駄文を長々と失礼致しました。重要で貴重な場として、貴サイトを利用させ続けて頂きたいと思います。これからも鋭くディープな情報と御説を、是非ともよろしくお願い致します。

 本当に今回のミサイル発射に関する報道を見ていると、飽きるほどの同じ事柄の繰り返し(特にテポドン1の映像)と、情報操作のために出演している政治家や彼らの協力者による扇動、調子の外れた司会とゲストのコメントで満ちあふれていたと思います。中には使える情報もありますが、失望する方が遙かに多かったのです。自分が見ているものとの乖離が激しすぎて、自分がアクセスしているインターネットはどこか別の惑星につながっているのかと思えるほどです。週刊誌も立ち読みしてみましたが、パラパラとめくった段階で読む意欲を失いました。(スパイク)
投稿者:どろ
日 付:2006.7.14

 スパイクさん、こんにちは。どろです。

ミサイル問題を巡る国連でのせめぎ合いに決着がつきそうだとの報道に接し、胸をなで下ろしています。日米と中ロの理性による歩み寄りが実現しそうだからです。
 日米が国連憲章第七章にもとづく制裁決議をあきらめ、その代わり中ロは非難なしの議長声明ではなく制裁なしの非難決議を提出し、日米がこれに賛同するとか。

 日本政府に理性があったのでこれはこれで良かったけれど、日本が国連決議第七章にもとづく非難決議を積極的に推進したのは、日本の戦後史を画する一大事件だったと私は思っています。

 「国連憲章第七章」第42条は「平和への脅威」「平和の破壊」や「侵略行為」に対する武力制裁の権限を国連に与えています。
 湾岸戦争も、イラク戦争も、ソマリア危機も、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争も、すべてその軍事行動の根拠は「第七章」でした。

 日本がこんな決議の提案者になったということは、万が一北朝鮮に武力制裁を行うとなった場合、積極的に国連軍の中心任務を果たす決意を内外に宣明したということです。つまり国連軍として北朝鮮と戦うぞと宣言したと同じ事です。
 北朝鮮をはじめとする他国は日本が「第七章決議」を唱えた意味を、このように理解したに違いありません。こんなものに中国が賛成するはずがありませんし、韓国が怒ったのも当然です。日本にその意図がなくとも、北朝鮮にしてみれば対等な対話の拒否であり、平和的解決努力の放棄に他なりません。少なくとも北朝鮮にそう言わせる根拠を与えてしまったことは間違いありません。

 これは憲法を踏み越える重大な決断です。
 武力攻撃を受けてもいないのに、国際紛争を解決する手段として武力を行使しようというのですから。
 「普通の国」だってこんな選択をすることはまれではないでしょうか。

 いや、ことは対北朝鮮だけで終わりません。
 「第七章」決議がもしも通っていたら、今後は国連決議にもとづく世界中の重武装PKFに自衛隊を派遣しなければならなくなります。そうしなければ、日本は自分のときだけ世界に支援を求めておいて、他人のことは知らん顔なのかと非難されてしまうでしょう。
事態は北朝鮮非難決議という紙の上の世界にとどまらないのです。
 「第七章」決議の提案、それは早急な憲法改変につながる重大な転換だったのです。

 それが政府を通じた国民の命令ならば、自衛官はどんなに過酷な戦場へでも赴き、専心職務の完遂に務めるでしょう。私はそれを疑いません。
 しかし若い自衛官たちを戦場へ送り込む側はどうでしょう。本当に事態を理解しているのでしょうか。自衛官が毒ガス漂う凄惨な戦場にのたうち回る報道に接してから、こんなつもりではなかったと後悔してもだめなのです。

 このことをメディアは伝えない。
 国民もよく知らずに制裁だ、制裁だと無責任に囃し立てている。
 この事態はなんなのでしょうか。
 本当に恐ろしい時代になったものです。
 だからもう一度繰り返します。決議をゴリ押ししなくて良かった。
 日本政府に理性があって、本当に良かった!

 北朝鮮がテポドン2の準備を始めた段階で、日米は発射された場合に備えて、すでに非難決議案の作成に入っていたという報道がありますね、おそらく、両政府は海上封鎖も想定して、第7章を根拠にしたのでしょう。第7章でも非武力的措置を定義した第41条に限定するという逃げ道もあったと思いますが、これでは北朝鮮には効き目がないと思ったのかも知れません。

 キューバ危機の場合、ケネディ政権は独自に海上封鎖も行いながら、南米アメリカ大陸の諸国で構成された米州機構に状況を説明して理解を得るなど、味方を増やす外交戦も行いました。こうした努力は日本は昔から下手だと思います。政府から先鋭的な声だけが聞こえてきたというのは本当に不安にさせられることです。

 参考までに、国連憲章第7章の該当部分を掲載します。

第41条

 安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。

第42条

 安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。(スパイク)

投稿者:どろ
日 付:2006.7.12

スパイクさん、はじめまして。
新しいHPの起ちあげおめでとうございます。
J−COMでの詳細な情報と緻密な解析が、早速こちらで展開されている様子に、今後の展開がとても楽しみです。

さてテポドン2の件ですが、脱落した外殻が two-pieceに分かれてはずれたとのglobalsecurityの分析について、これはテポドン2の発射が人工衛星打ち上げを意図したものである可能性を示していないでしょうか。
ノーズコーンが一体成型のものならば、大きな衝撃もないのに上昇過程で二つの破片に分裂することは考えにくいと思うのです。
衛星軌道に達したらノーズコーンが二つに分かれて衛星を射出する構造だったのに、強度不足で継ぎ目がはずれた、あるいは安全装置が故障して分離装置が作動してしまったと考えるのがより合理的ではないかと思うのですが、スパイクさんはどう思われますか。

HN どろ
(少年工科学校OBで、神浦さんの後輩にあたります)

 どろさん、こんにちは。

 実は、本日のニュースでその点について軽く触れています。私も、弾頭の外殻が壊れたことは、人工衛星の打ち上げであった可能性が高いと考えています。今回は再突入用のノーズコーンのテストは行われていなかったと見るべきで、北朝鮮に再突入の衝撃と熱に耐えるノーズコーンを作る技術はまだなく、今回の打ち上げは着弾精度を試すものではないということでしょう。こうしたことを無視して、政界からは先走った意見しか聞こえてきません。こうした先鋭的な意見はすべて腰砕けになるものと想像しています。(スパイク)

投稿者:銭湯犬
日 付:2006.7.11

銭湯犬です。サイトオープンおめでとうございます。
日々熱心な御報告には敬服しております。
しかしいきなり突っ込みを入れる無礼をお許しください。

静止衛星軌道への衛星投入は、パーキング軌道への投入後に精密な軌道変更を行い静止軌道へと遷移し、投入後もその位置を維持し続けなければなりません。
つまり極めて高度な衛星製作・制御技術が必要であり、一足飛びに開発が狙えるものではありません。
スパイクさんの仰るとおり、北朝鮮の宇宙開発レベルは米ロの半世紀遅れです。IRBM弾頭開発への応用を鑑みても、まずは低軌道への衛星投入が先決でしょう。


/銭湯

 ご指摘ありがとうございます。

 宇宙開発についてはそれほど知らない私ですが、NASDAの軌道図を見て、かなり高度な人工衛星の制御技術がないと無理だと感じました。また、テポドン2の射程距離も足りません。しかし、他に類似する人工衛星の軌道図を見つけられず、借用した次第です。一般論としての説明としては誤っていないと考えています。(違っていたら、また言って下さい)

 今日、テレビで北朝鮮が携帯電話の実用化を考えていると聞いて、思わず人工衛星と結びつけてしまったのですが、電子産業が遅れている北朝鮮が独自に携帯電話のシステムを開発できるわけはなく、外国からシステムごと買うしかないと思いました。電話回線を新しいものにするのが先決ではないかと思います。北朝鮮の経済の発展は他の国と違い、読みにくいです。(スパイク)

投稿者:myu5
日 付:2006.7.8

スパイク様、はじめまして。
まずは、websiteの開設おめでとうございます。

神浦様のsiteで、いつもスパイク様の投稿には感心させられながら拝読させて頂いておりました。

私も、最近の北朝鮮のミサイル騒動では、一般の軍事知識の不足につけ込んで、故意に北の能力を誇大に捉え、世論を一定の方向に誘導しようとしているのではないか?という疑念を強く感じております。
私も、ノドンの射程が1300kmという説に対して、全射程実験を行っていないことから、実際は600km程度の射程しかないのではないか?(あるいは設計上は1000km以上の射程があるかもしれないが、少なくともそれを達成するだけの信頼性のある実物を制作するには至っていないのではないか?)と考えております。

北のミサイルの脅威を強調する人達の中にも内心それを気にしている人がいるようで、全射程実験をやらなくても充分なのだ、と主張したりもしているようですが。(ちなみに、ノドンの射程1300km説の根拠は、93年の発射時の弾道が本来より垂直に近い角度で上昇するような形だったので、本来の角度で飛ばせば
1300km飛ぶということらしいですが、これは米国発の情報であり、公正な第三者(?)が確認したわけではないので眉唾ものではないか?と思います)
ノドンの派生型とされるガウリやシャハブ3についても、実際に1300km程度を飛ばした実績はなかったように思います。

それから、スカッドERというのは、2005年に朝鮮日報が報じたものを蒸し返した(焼き直した?)ものと思われます。

(参考)

http://csx.jp/~gabana/Zaakan/hibi0502/hibi-niisi-050217.htm

http://dprk93.hp.infoseek.co.jp/news/20050216.htm


それでは、今後の貴siteの発展をお祈り致します。

 スカッドERに関する情報提供をありがとうございました。

 北朝鮮の実用的なミサイルの能力は500〜600kmが妥当だと、私も確信しています。また、テポドン1の発射テストにしても、「見せるため」の意味合いが強いと感じます。普通なら、一度発射に成功したら、同じロケットを使って何個か人工衛星を打ち上げて見せて、ロケット技術の向上を確実なものにするはずです。ところが、次は新型のテポドン2の発射でした。これでは実証されたシステムの確実性を向上させられず、技術開発の順序としてはおかしいことです。(スパイク)

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