2006年7月の投稿

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投稿者:どろ
日 付:2006.9.19

こんにちは。ご無沙汰しています、どろです。

額賀防衛庁長官の記者会見、がっかりしました。
公式報告書を作る気がないようですが、あれだけ大騒ぎして「敵地攻撃論」まで噴出したのに、記者会見だけでお茶を濁すとは、一体なんということでしょう。
政府と国民にとって、ミサイル騒動とはそれほどたいしたことのない事柄だったとでも言うのでしょうか。不可解です。

テポドンがほんの数kmしか飛ばなかったのはこのサイトを読んでいたので判っていましたが、しかし右派は一時は北海道近辺まで飛んできたと言っていました。(今でもそう思っている人がいます。)
それで大問題だと大騒ぎしたはずです。
政府はその馬鹿騒ぎを抑制しませんでした。
結果として世論の支持を受け、自衛隊法が改正され、MD導入ペースが早められることになりました。
実際にはろくに飛んでさえいなかったという発表なんで、知らない人の方が多い。まして口頭発表してすませるなんて、こんな手法が許されるのでしょうか。これでも日本は民主主義の国なのでしょうか。
「若干の食い違い」で済ませられることではありません。

発射されたのが新型スカッドだという発表がトーンダウンしたのは、要するに新型ミサイルというのはガセネタだったわけでしょうか。
新型のスカッドを実験したのなら、これは北朝鮮とイランが共同でミサイル開発している有力な傍証だったのですから、その否定は大幅な後退です。
だったらイラン技術者がどうのこうのというサンケイ記事は何だったんでしょう。

発射されたのがノドンなのかスカッドなのか、あいまいにごまかしたのも問題です。
なぜ誤魔化すのでしょう。その理由の可能性として3つ考えました。

1. 本当にわからない。
2. 発射されたのはノドンだったけど、それがが400kmしか飛べないとなると、MDの必要性が薄れるので政府にとって不都合なので隠した。
3. 発射されたのはノドンで本当はもっと飛ぶのだけれど、北朝鮮が日本から離れる方向に向けて、しかも400kmしか飛ばさなかったとなると、北の姿勢が意外と抑制的であったことになるので、政府にとって不都合だから隠した。

1だったら今後配備されるMDの能力もあてになりません。ただの金食い虫です。やめたほうがいいです。
本当のところはわからないけれど、1にしろ2・3にしろ、いずれにしてもここは白ばっくれて北朝鮮の意図や能力を灰色にしておいたほうが何かと都合がよいという動機による、政府の情報操作なのではないでしょうか。
私はありもしない北朝鮮の直接的脅威などより、このような情報操作をする政府のほうが国民にとっては百倍くらい危険だと思います。

それにしても、どうしてメディアはこういうことを大きく書いてくれないのでしょうか。
このままでは国民は政府に騙されっぱなしではありませんか。
この国の民主主義に危惧を抱かざるを得ません。
どうしてメディアはこんな大切なことを大きく取り上げないのでしょうか。理解に苦しみます。

 9月15日の記者会見はアメリカでも報道されているはずだと思い、ビック氏にメールを送ったら、アメリカでは報じられておらず、どこにも記事が見当たらないと言われました。同じ頃に韓国の合同参謀本部が発表した分析結果も見当たらないといわれたので、私が探したところ、オリジナルの記事の半分程度の英語版記事が見つかりました。額賀氏の記者会見はむしろ韓国のメディアが多く報じていますね。日本のメディアはすでにニュースとしての価値を失ったと考え、報じないのではないでしょうか? 額賀氏は、幹事社から質問があったので答えたと記者会見で述べています。メディア側もまったく知らないではすまされないので、一応質問して記者会見を開いた記録だけ残し、報道はしないという程度の対応でしょう。

 とにかくも、額賀氏やMD推進者たちは、北朝鮮のミサイルが恐ろしいということを国民の条件反射にすることに成功しました。地に足がついていない防衛論は危険なのですが、往々にして国家は危機感を使って国民を動かそうとします。ヒトラーがユダヤ人が危険だと叫んで独裁国家を作った事例は典型的です。

 ミサイルの種類が本当に分からないとすれば、2ヶ月かけて解析しても、現在の技術ではミサイルの種類を特定できないことになります。つまり、ミサイル攻撃事態においては、何だか分からないミサイルに向けて迎撃ミサイルを撃つというわけです。私たちは、これで命中が期待できるのかという問題に目を向けざるを得ません。対抗策としては、敵のミサイル1発についてこちらは2〜3発を撃ち、命中を期するという方法しかないでしょう。しかし、元々命中率が悪いものを沢山撃っても、すべて当たらないことも考えられます。それに、北朝鮮は同時に多数のミサイルを撃つことで戦果をあげようとすることになります。その場合どうするのかは、MD推進者たちも考えていないようです。(スパイク)

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