2007年8月の投稿

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投稿者:
日 付:2007.8.21


米軍はIED対策に腐心しているようですね。

ところで他国の軍隊はどうなのでしょうか。

他国軍は米軍ほど予算をかけて装備を更新できないのではありませんか。
自衛隊の主力移動手段は、至近距離から撃たれれば小銃弾でも穴が空くような高機動車でした。
よくまあ、あれで無事だったものです。

武装勢力が相手を選ばず、ともかく占領軍に打撃を与えようという戦略をとっているならば、強力な米軍は避け、装甲が脆弱で攻撃力も弱い小国の部隊を狙う方が効果的でしょう。
しかし実際には、頑丈なうえ強力な火器で武装している米英軍が、集中的に被害にあっている印象です。

武装勢力とは、ただイラクに混乱をもたらすために暴力をふるう狂った原理主義集団であるというイメージが、米国政府によって振りまかれています。
市民を狙った無差別テロを繰り返している勢力については、たしかにそのとおりかも知れません。
しかしそればかりが実像なのか、彼らの攻撃の仕方を見れば疑問に思います。
占領軍追放の大義を掲げて危険を顧みず、あえて「主敵」である米英軍に挑んでいる愛国者も多いに違いありません。

M−1戦車さえ破壊する周到なIEDの手口と、市民を狙って人口密集地で見境なく自動車爆弾を爆発させるような手口を較べれば、同じ勢力がやっているにしては違和感がありすぎます。
市民にテロ行為を働いている無法勢力と、米軍相手に果敢に戦っている愛国勢力は、組織も別々なのではないでしょうか。

その区別がついていない(区別のつけようがない?)ところが、米軍にとってもイラク市民にとっても悲劇であるように思います。

 武装勢力がどの軍も同じように狙ったとしても、米軍はパトロールする機会が圧倒的に多いので、結果として米軍の被害が大きくなるのではないでしょうか。米軍以外の軍隊もIEDで相当にやられていることは、icasualties.orgの「Other Coalition Countries」で各国の内訳を見れば分かります。ざっと集計したところでは、総数129人中80人、62%がIEDで死亡したとされています。米軍のIED死亡率も概ねこれくらいですから計算は合いますね。

 一般市民を狙った大規模なテロは一見狂気にも見えますが、独立を目指す闘争では過去に類似する実例がいくつもあります。こうしたテロは自国民を平気で殺傷しますから、米軍を狙っているテロとは別だとは言い切れません。同じであっても、特段変ではないと思います。私が認識する武装勢力の性質の違いは、外国人武装勢力は自爆攻撃を行い、イラン人の武装勢力は武器の供給や訓練に精を出しているということです。イラン人は軍人なので、技術的な支援に徹しているのだと思います。(スパイク)
投稿者:
日 付:2007.8.17



スパイクさん、こんにちは。
今年は北海道が異常な暑さだそうですね。
毎日の更新、ご苦労様です。

>今夜、NHKが「日本の、これから」を放送するようです。一応、見ようかと思いますが、この番組はいつも面白くないので、途中で止めるかも知れません。なぜ、小林よしのりのような、筋違いの軍事論を持論とするゲストを呼んで発言させるのかも分かりません。

スパイクさんの危惧があたりましたね。
私は途中で見るのをやめました。

とりわけ改憲派ゲストには、よく知らない人たちをわざと誤導する発言がめだちました。
例をひとつだけ。
「自衛隊にはジュネーブ条約が適用されないのでしょうか」という一般出演者の質問に、ゲストが「そのとおりです」と答えていましたが、議論が都合良く進むように、知っててわざと間違ったように見受けられました。こういう八百長みたいな真似は感心できません。

しかしすぐに突っ込めない護憲派もだらしない。



ところで今日の投稿はそのことではありません。

ヒゲの佐藤部隊長が、サマワの自衛隊派遣部隊を警護していたオランダ軍が攻撃を受けたら「国内法に違反しても駆け付け警護に走った」とコメントして物議をかもしています。
スパイクさんはどのように考えますか?

参加しているMLでこのことが話題に上ったので、私は次のように書きました。


☆「駆け付け警護」は集団的自衛権の発動にあたるのか

同盟関係になくても、共同の目的をもつ部隊が攻撃された場合、これに応戦するのは、国際的には当然認められるべき個別的自衛行動とされている。
こういうケースを集団的自衛権の問題として扱うのは間違いだ。
「駆け付け警護」を認めるべきだとした有識者懇談会の結論も、政府の意図とは異なり、集団的自衛権のカテゴリーとは別の問題として扱っている。
こんなものを集団的自衛権の問題として論議せよと命じた安倍政権がおかしい。

これまで駆け付け警備が出来ない理由として政府が示していた理由は、集団的自衛権の有無ではなく、「海外における武力行使」にあたるとされたからだ。


☆「駆け付け警護」は必ず必要か。

そうとは言えない。

駆け付け警護のケースではないが、こんな例がある。

カンボジアで国連の停戦監視活動に参加していた高田警部補がポル・ポト派に待ち伏せされ殺されたことがあった。
この時警護していたのはオランダ軍だったが、対処能力を超える事態であると判断して、警護しないでその場から撤収したのだ。
高田警部補が殺されたのは、オランダ軍が逃げ出したからだ。
軍であっても能力を超える任務を遂行する責任はない。
事実、この時のオランダ軍の行動を(表向きは)誰も非難していない。
オランダも特に謝罪めいたことなど(表向きは)述べてはいない。
自衛隊に対して駆け付け警護を政府が明確に禁じていれば、それを遵守したことで自衛隊が非難されることは、(表向きは)ないだろう。

影で腰抜けとバカにするのは勝手だし、オランダ軍もそう言われていたけれど。


☆駆け付け警護はしなくてもよいか。

そうとも言えない。
オランダ軍としても、やはり高田警部補の件は反省していたと思う。
今回サマワの自衛隊警護を向こうから買って出て、そのためにわざわざ特殊部隊を本国から増派してまで警護能力を高めたのは、カンボジアでの借りを返す意味もあっただろうと思う。
公式にそうは言わないけれど、それが国際的仁義というものだろう。

佐藤議員の発言は、現場責任者のホンネだと思う。
自衛隊はお嬢さんの集団ではない。
いざとなれば死ぬ覚悟をしている、そして敵を殺す覚悟をしている、プロの武装集団なのだ。
目の前で仲間の部隊が攻撃されて死傷者を出しているのに、国内法を理由に指をくわえてみていることなど、彼らには耐えられないに違いない。
それが武力組織というものなのだ。


☆では、何が問題なのか

問題点その一

・戦場にいくわけではない。
・だから武器の使用は考える必要がない。

こんなあり得ない想定でイラクに派遣したのが、そもそもの間違いなのだ。
自衛隊という組織と、その任務が不適合を起こしていたのだと思う。
できない命令を下したものに責任がある。

問題点その二

自衛隊に駆け付け警護をするなというのは、F−1をスピードレースに参加させておきながら、市街地の速度制限を守ってコースを走れというようなものである。
そういう無理なことを命じるのならば、断固たる姿勢で命じなければならない。
他方でその規制を解除するようなそぶりを見せてはいけない。

しかし駆け付け警護を認めるなら、政府の責任で明確に認めなければならない。

軍隊の規律は厳正でなければならない。
命令権者である総理大臣が中途半端な姿勢だから、「緊急の場合に法解釈を破ってもいい」などという部隊長が現れるのだ。

関東軍が暴走し始めた時、政府が口では不拡大方針を唱えながら腰が据わっていなかったので、現地部隊を統御できなくなった教訓を思い起こさねばならない。

政府は姿勢を鮮明にすべきである。
ごまかしの論理で軍事力を弄んではいけない。

 今日は涼しくなりましたが、最高気温を記録した日は北海道も非常に暑かったです。1日だけ冷房が効いている図書館に逃げ込みました。

 案の定、「日本の、これから」は酷かったですね。自分が参加者だったら不完全燃焼を解消するために収録後、飲みに行ったでしょう。(笑)

 ご指摘の通り、あまりにも基本的なことが誤った発言が多かったと思います。政府や似非識者などが発信する誤った知識に染まっている人がいかに多いかを痛感しました。

 それから、改憲派の中に「自身を守ろうとしない民族は滅びます」と、宗教的信念のような口調で言う人がいたのにはびっくりです。このまま改憲しないと日本はそれが原因で滅亡するとでも言うのでしょうか? この人は、大日本帝国が軍隊を認める憲法を持っていたのに滅んだことを忘れています。

 佐藤正久氏は、離隊後とはいえ、下手をすると自民党に対する逆風にもなりかねないことをよく言ったものだと驚きました。政治家になることも考えたら、言いにくいことではないかと思います。佐藤氏の主張そのものは「現場は当然そうなるでしょう」と言うべきものです。だからこそ、派兵はやめるべきだとも思います。

 ご指摘のことには概ね同感です。どうも日本には無理に緊急事態を作り出して話を通そうとする人たちが多いように感じます。そうすれば相手が同意するだろうと考えるのでしょうが、それは主張に自信がないからに他なりません。本当に必要なことなら姑息な手を使わずに説明しようと思うはずです。

 あるいは安倍政権には軍事知識をもった人がまったくおらず、有識者懇談会に指示した事柄を本気で正しいと信じているのかも知れません。日本はアメリカに向かう弾道ミサイルを撃墜する必要があると本気で信じているのかも知れません。これは最も恐いことです。彼らは例え失敗しても「そうなるとは予測できなかった」と言い訳すると目に見えています。(スパイク)

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