2008年2月の投稿

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投稿者:田中浩章
日 付:2008.2.14


初めてメールさせていただきます。田中浩章と申します。
記事に対する意見をさせていただきます。

貴方が想定しているゲリラ戦のイメージはだいぶ小規模で特殊な状況に思えます。
 市外戦闘では敵のロケット弾などの火器は脅威となります。人命を優先する自衛隊では装甲車では防御力が少ないと判断するかも知れません。
 次に戦車の攻撃力では強力すぎると思われていますが、それは徹甲弾をイメージされていませんか?イラク戦での戦車による榴弾は建物の一角だけを破壊し有効でした。
 敵の移動が早くとありますが、現代の砲制御装置は優秀で戦車長、砲手どちらも敵に対して素早く砲を操作できるようになっています。間接照準の榴弾砲、迫撃砲の集弾率からすると貴方の想定するようなゲリラ戦では周囲に与える被害が大きすぎます。それならばなおさら戦車砲の方が有利です。それに照準を合わせるのが遅すぎて敵の移動について行けないでしょう。 
 この記事には偏見を感じましたのでメールさせていただきました。

長々と失礼を申し上げてすみませんでした。

 ご意見ありがとうございます。私はまったく失礼などとは思っていませんので、気にしないでください。

 ただ、少々誤解されているようなのと、ご意見の中に理解が困難な部分もあります。それを確認しないままにお答えするのは気が引けますが、まずは私の意見を説明することにします。それで、またご意見があったら送ってください。

 私が想定しているゲリラ戦、自衛隊の説明ではゲリラ・コマンドですが、非正規兵やテロリストから特殊部隊までを含んでいると考えています。ですが、いずれの場合も、日本で行なわれる場合は、小規模な部隊しかないと考えています。外国から海路や空路で大軍を送り込まれるような場合は、すでに全面的な戦争の段階であり、そういう状況で戦車が使われることは自然な話です。自衛隊として、可能性が少ない状況についても装備を開発し、訓練を行うというのは当然かも知れませんが、報道を見た範囲では、国民がこれでゲリラ・コマンドを殲滅できると誤解する恐れがあると考えます。

 使用する砲弾は徹甲弾ではなく、多目的対戦車榴弾などを想定しています。

 「敵の移動が早く」とは書いておりません。「移動速度も遅いゲリラ部隊」と書いたように、ゲリラ・コマンドは徒歩で移動することを前提に考えています。

 榴弾砲、迫撃砲の命中精度については、書いた時点で私自身が不明瞭だった面があります。基本的に、ゲリラ・コマンドが活動し、自衛隊や警察が彼らを捕捉するのは森林や山間部と考えています。その場合、必要に応じて、捕捉した場所に向けて砲撃をするのは有効だと考えています。これは歩兵部隊がゲリラ・コマンドを包囲したあとでの話で、敵の位置がはっきりしており、そこから動けない状況を指しています。また、砲撃するまでもなく、小火器で対応は間に合う方が多いのではないかと想像しています。例にあげた市街地で建物に籠もった敵に対しては、周囲への被害を考えると使用は差し控えられるかも知れません。しかし、自衛隊が装備する120mm迫撃砲は十分に準備した間接砲撃においては、近距離なら建物を十分に狙える精度を持っています。この辺の説明は、過去の議論を思い出しながら書いたので、説明不足であり、混乱していたと私自身が思います。

 仮に、建物に籠城しているゲリラ・コマンドを戦車で攻撃するとしましょう。マーケット・ガーデン作戦でドイツ軍が英軍に対して用いた有効な手法に、上の階から順番に下の階を戦車で砲撃するやり方があります。砲撃の威力と、重力で落下した瓦礫で敵を粉砕するのです。この場合にC4I機能があれば、確かに便利でしょうが、必要なものとは言えないというのが、私の意見です。C4I機能なしでも、こうした任務は十分に可能です。現に、半世紀以上前の第二次世界大戦で使われているのですから。(スパイク)

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