「あたご」の救助活動は、詳細についてまでは、私が知る限りでは報道されていません。報じられたのは「救助活動を開始したのが衝突の16分後で、規定よりも5分間遅れていたこと」「航海長を防衛省へ、と負傷した隊員を病院へ搬送するために、2機の艦載ヘリが一時捜索を中止して搬送任務にあたったこと」です。衝突直後は内火艇で捜索を行い、夜明け後はヘリコプターも投入したと考えるのが妥当でしょう。具体的な救助活動の内容は分かりませんが、通常行っている訓練通りに行ったと考えるしかありません。救助を行ったと考えるのは、行わなかったと考える理由がないからです。
救助開始の遅れについては、石破大臣が「夜間航行中で、寝ている乗組員を起こすのに時間がかかった」と訳の分からない説明をしています。長距離を航行する船の乗員は、民間船も含めて交代制で勤務しています。24時間船を動かすには、部門によって勤務時間が違いますが、4時間〜12時間くらいの間で勤務時間が決まっています。航海当直は4時間勤務と8時間休息、稼働率の低いヘリコプター要員は12時間交代となっていると聞いています。このように、船は24時間変わらず活動しているわけで、夜間だから人手が足りなかったとか、目を覚まさせるのに時間がかかったというのは馬鹿げた話であり、恥の上塗りでしかありません。
行方不明になっている吉清治夫さんと哲大さんが生存しているなら、捜索開始が遅れたためや、海保への通報が遅れたために海保の捜索活動の開始も遅れ、暗闇の中で2人が潮に流されたために発見されていないという状況が考えられます。現場海域は潮の流れが激しいという報道もありますから、私は「あたご」の捜索活動の不備は批判されて然るべきと考えています。
「なだしお」については、潜水艦という特殊な船種が災いした部分があります。もともと、潜水艦は米原潜グリーンヴィルが「えひめ丸」に衝突した事故では、グリーンヴィルが直ちに沿岸警備隊に通報し、早期に救助活動が始まっています。グリーンヴィルは溺れている者がいた場合に備え、ダイバーを出す準備をして、周囲を監視しましたが、結果としては救助は沿岸警備隊が行いました。この事件の経緯は次のようになっています。早期に救助活動を行うことの重要性を感じさせる内容です。
13:43 |
グリーンヴィルがえひめ丸に衝突 |
13:48 |
グリーンヴィルがCOMSUBPAC(太平洋艦隊潜水艦隊司令部)へ衝突を通報 |
13:55 |
COMSUBPACが沿岸警備隊へ救助要請 |
14:27 |
沿岸警備隊のヘリコプターが現場海域へ到着 |
14:31 |
沿岸警備隊の艦船が現場海域へ到着 |
なお、同じ質問を別のサイトでも質問されることは一向に構いません。複数の情報源を求めるのは、情報分析の基本です。私も、情報源は可能な限り複数探すようにしています。(スパイク)
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