2012年10月の投稿

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投稿者:匿名希望
日 付:2012.9.28

貴重な情報への感謝と、いささかの苦言です。

スパイク通信員様

 ホームページ、いつも拝見させていただいています。なかなか興味深い情報を、しかも「ただ見」できるなど、すばらしいことだと感謝しております。

 スパイク通信員様の視点は、神浦様のホームページにさまざまな詳細な情報をメールにてご報告されていた頃より一貫して、徹底的に細部にこだわり、その位置から順次状況を判断して全体の理解に至るのが特徴的であると理解しています。いろいろと教えられる事も多く、知的好奇心が刺戟されます。

 その上で、今回はいささかの苦言をていせざるをえないと考え、失礼ながらお便りさせていただきました。他に宛て先が見当たらないため、「マスコミなど、業務でお問い合せの方はこちらからどうぞ。」という「お問い合わせ」アドレスを利用させていただきました。

 といいますのは、スパイク通信員様「オバマ政権が領事館襲撃を軽視?」の次の一文です。

 東京都が集めた寄付金は結局、尖閣諸島を購入するためには使われませんでした。こうなることも事前に予測できたことです。民主党が与党になる前から、尖閣諸島への上陸を国は認めておらず、測量ができないことから東京都が島を購入することは不可能だったからです。それにも関わらず、この不況下で、15億円近くの寄付金を送る人たちが現れました。実現しそうにないことに金を投じる人たちがこれほどいるとは、私には驚きでした。私は石原慎太郎都知事が人気取りのために尖閣問題を利用しているとしか見ていません。しかし、こういう扇動的政治活動に共鳴する人たちが多くいるということに、私は強い不安を感じます。

 頭にくるのを止め、常に情勢分析からはじめるべきです。

 さて、スパイク通信員様の見解によりますと、十数万人の日本人が「頭にきて」この不況下に敢えて「自腹をきって」ひとり平均「一万円超」の金額を寄付したことになります。そしてそのような人々に「不安を感じる」とおっしゃっている訳です。尖閣寄付の可否の検討・懐具合の勘案・振込先の確認・実際の振り込みと、この間、随分と時間が経過すると思いますが、この長時間の間、「頭にきっぱなし」というご判断ですね(違いますか?)。

 これが「100元(~1000円)もらって」指示されたとおりに「反日デモを挙行」し、日本企業その他に対して「略奪・破壊行為」に及ぶ多数の中国人が存在することに対して「不安を感じる」ならば、まさにその通りでありましょう。

 かく言う私も少額ではありますが、「尖閣寄付金」に参加しました。

 石原東京都知事がいわゆるゲスな人間であることなど、自分の頭で物を考える人々にとっては常識です。私も古くから石原慎太郎という存在には注目しており、「石原慎太郎の東京発日本改造計画」「石原慎太郎猛語録」「ここがヘンだよ石原都政」等の、支持・不支持両方の立場の書籍も求め、手元に置いています。読むに耐えない、石原慎太郎の著書もいくつか、敢えて求めています。

 さらに、震災・原発直後の都知事選で、上水の汚染を「幸いとして」都知事指示の元にばらまかれたひとりあたり「500mlのミネラルウォーターたった3本」で、石原慎太郎に「圧倒的支持」を与えてしまう都民の「民度の低さ」にも、苦々しい思いを味わっております。

 スパイク通信員様は札幌在住ということで(私も札幌には四半世紀ほどいたことがあり、その間、北大の某研究室に自由に出入りさせていただいていました)、あるいはご存じではないかも知れませんが、さらにひとつ前の都知事選では、石原慎太郎は選挙直前、町内の掲示板に張り出される防災ポスターに自分の顔写真を入れさせた前歴もあります。

 本人はさぞや、「一銭も自腹を使わずに選挙戦を闘った」、「俺って、なんて頭がいいんだろう」とでも思っていたのでしょう。いや、これは、私が「こういうゲスな人間はせいぜいそれくらいなことを考えるのが関の山だろう」と推測していた訳ですが…。

 その上で、石原慎太郎が「尖閣寄付金」を募ったのがゴールデンウィーク前と記憶しますが、連休中、熟慮し、「ここは日本人として参加せざるを得ないだろう」と判断し、連休明け早々に東京都の指定口座に寄付金を振り込んだ訳です(振り込み手数料も、もちろん自腹です)。

 本当の危機というのは、自国の立場を深く考え、自腹を切ってもいいとまで思う十数万人がいるにも関わらず、それの「受け皿」が無いことです。

 不安を感ずべきは、まずその点ではないですか。

 ここで、

1. スパイク通信員様にお尋ねしますが、この私の振る舞いのどこが「頭にきた」人間のそれでありましょうか。私の振る舞いは、今回「尖閣寄付」に応じた、多くの人々のそれとそれほど違わないと思うのですけども。

2. また、スパイク通信員様の「情勢分析」とはいったいどのようなものなのでしょうか。あなたの目には、日本と中国というのはどのようなイメージで映っているのでしょうか。

 スパイク通信員様は、まさか一定のイデオロギーに従って正邪を決めておき、現実がそれにそぐわないときは現実の方をイデオロギーに合わせて修正してしまう、そのような御立場であるとは、考えられません。ご判断の根拠をお知らせ願いたいのです。

 「尖閣寄付金」に応じた十数万人の方々に対して、ホームページ上で、きちんとご自身の見解を表明していただくことを希望します。もちろん、私にとって「気に食わない」見解であったとしても、それは「意見の相違」であり、その結果、尖閣寄付金の応じた十数万人を「頭にきた」連中と断ずるのもご自由ですし、ご自身の考え方、ご自身においての判断の根拠が明確に示されるならば、結構だと思います。共産主義国家ではない(ということになっている)のですから、異なる意見が共存することは、「平和のため」に大いに結構です。

 しかし、根拠も示さずに一方的に「頭にくるのを止め、常に情勢分析からはじめるべきです。」などとのたまうのは、それこそ、異なる考えをもつ人々を頭ごなしに全否定する「平和の敵」の態度ではないでしょうか。

 貴殿のホームページが単なる個人的なものではなく、そこでご自身の「お仕事」の紹介やら「お仕事」の募集をしている以上、批判に対してはきちんとご説明する義務があるはずです。

 マキアウ゛ェッリは「政略論」のなかで、次の二つのことは絶対に軽視してはならない。として、つぎのように述べているそうです(塩野七生著、マキアウ゛ェィリ語録)。

第一は、忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども溶解できるなどと、思ってはならない。

第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させうると、思ってはいけない。

 この「格言」が真実であることは、現下の日中関係・日韓関係をみても明らかと思いますが、いかが(日本はやってはいけないこと、いけないことを繰り返して今日の自体を招きました)。

 冷静に情勢を分析するとは、細目においてと同様、例えば、国際関係の事実を鋭く指摘する上記原則なども踏まえ、中国とはなにかという巨視的な視点での理解もおこなうことです。

 そういう目でみれば、現在対立する周辺諸国がすべて儒教国(=儒教という宗教が骨絡みになった宗教国家、前近代国家)であることに容易に気づくはずです。日本もそれで、国を滅ぼしかけました。

 そのような巨視的な視点が欠けているため、今回の貴殿のようは判断がでてくるのではないかと、これは私の推測です。

 だいぶ厳しいことを言いましたが、軍事評論家ないしその関連のお仕事でご活躍されるのであれば、細部から見る視点に加え、上記のような視点もお持ちになれば、論説も随分と奥の深いものになるのに、と感ずることも何度かありましたので、今回、よい機会とも思い敢えてメールさせていただきました。

 ちなみに、節約を心がけ、国債が発売されたときの購入の準備をしておこうかと考えています。戦時国債です。偏狭で独善的な教義をもつ宗教国家がその本性を明らかとし、敵対したということは(私はそう判断しています)、「平和を保つために」そこまで腹を括る必要があるということです。もちろん、戦争なぞ、望んではいませんが、これまでのような「商魂が士魂を辱める」類の、一時凌ぎの「対策」なぞ、かえって将来に大きな問題を引き起こすでしょうから…。

  メールが届いていることに気がつくのが遅れ、返事をするのが遅れてしまいました。メールには実名が書かれていましたが、投稿のページから投稿されたのではないので、匿名とさせていただきました。

 一般の方の投稿は「読者からの寄稿」からメールが送れるようになっています。分かりにくくて申し訳ありません。今後、改善すべきかも知れません。

 しかし、それ以外の部分は私の理解を越えていますし、意見をまとめずに、書き散らされても、どこに答えればよいのかが分かりません。

 言葉尻をとらえて、私の主張まで曲解されたのでは、返事のしようもないということです。「頭にくるのを止め」と書いたのは、他に表現のしようがないためです。目的通りに使われる可能性が極めて薄いのに寄付金を出すような行為は、説明するまでもなく、冷静さを欠いています。それを表現したくて書いただけです。指摘されてみれば、表現が稚拙だったかも知れませんが、それだけの話です。他に書きようがありませんから。

 メールの内容からして、投稿者は中国を「偏狭で独善的な教義をもつ宗教国家」と考えているようですが、13億人を越える人口を擁する他民族国家を「儒教」だけで括れると考えるのは単純すぎます。冷戦時にもソ連を「科学に名を借りた大宗教国家」とした見方がありましたが、その中国版に過ぎません。こうした括りは、情報が少ない国に対して使われることが多いのですが、不正確なので、私は使っていません。

 私が中国を考える上で第一に意識するのは、この国の経済活動とそこに連動する政治の傾向です。つまり、中国各地でどんな経済活動が行われていて、そこからどんな政治が生み出されるのかということです。

 後はご自分で考えてみてください。

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