どちらが優勢かは、私が一番知りたいですね。(笑)
どれだけの兵士が政府軍から離反し、相互の戦力比がどの程度なのかは明確には分かっていません。しかし、かなりの兵士が離反したと考えてよいと思っています。
さらに、元兵士だった大勢の民間人が政府派と反政府派に別れ、民兵となって活動しています。その人たちの人数はさらに不透明です。
そこで、双方が占領した地域の面積で、大凡の勢力図を推定することになります。最近はシリアの大半を反政府派が占領しており、そこから推測するに、反政府派が優勢と判断してよいということになります。
反政府派は当初、攻撃しては逃げるという戦術をとっていました。損害を避けるため、政府軍を攻撃し、反撃を受けそうになったら、その場の占領を優先せずに撤退するというやり方です。敵に確実に損害を与え、自分の損害を避けることが狙いです。ところが、数ヶ月前から、反政府派が地域を占領して、それを維持する方針へ転換したように見えるようになりました。これは反政府派が優勢になった証拠です。首都ダマスカスでは、まだ攻撃しては逃げる戦術を繰り返し、敵がいなくなったところを占領するというやり方です。徐々にゲリラ戦から通常の地上戦へ戦いの姿が変わりつつあります。
当サイトの過去の記事を検索すれば、アサド軍が次第に劣勢になって行ったのが分かります。
それから、戦力を決定づけるのは兵士や兵器だけではありません。ナポレオンが言ったように、「軍隊は胃袋で進む」のです。財力の裏付けなしに、軍隊は力を発揮できないのです。反政府派は海外からの支援がありますが、シリア政府には国家の財力があります。私が一番気にしているのは、シリア政府の財布の大きさです。前から指摘しているように、石油資源を反政府派が握ると、シリア政府は石油を国内に供給できなくなり、隣国から輸入するしかなくなります。ヨルダンやレバノン、イラクとの国境を反政府派が押さえると、石油輸入量が激減し、アサド支持派の間にも不安が拡大するでしょう。その辺が、この内紛の限界点ではないかと、私は考えています。反政府派は東部の油田を押さえ、中部ホムスにつながるパイプラインも確保しつつあります。ダマスカスだけでは石油は生産できません。民生を支えられなければ、アサド大統領は指導者としての面目を失うのです。退陣、自殺、暗殺、亡命のどれかは分かりませんが、何らかの結末があるはずです。 |