2013年4月の投稿

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投稿者:匿名希望
日 付:2013.4.21

はじめまして、シリアの最新軍事情勢を検索していたら スパイク通信員様のサイトを発見しそれ以来、更新されるのを心待ちにしております。グーグルアースのデーターは失礼ですが
黄色のピンに置き換えていますので、シリアはピンだらけになっております。

今回、メールをさせていただいのは、シリア(アサド)軍が苦戦しているのではないかと思いましたので、どういう事情なのか質問する相手がいないので貴サイトに質問させていただき
ました。もし、それが事実であれば考えられる理由は何なのかお聞きしたいです。

当方は自衛官でも軍事評論家でもないので、重火器を含む戦車や装甲車や戦闘機やミサイルを保有しているのだから、主に対戦車ミサイルを含む小火器や徒歩で移動し、ごく少数の鹵獲
した戦車や装甲車ぐらいでは、反政府側はいずれ駆逐されるうだろうと考えていましたが、そうはなっていないように見えます。

動画サイトなどを視聴していますと、あまりアサド軍は真剣に闘っているように見えない投稿もあります、例えば、アサド軍検問所で土嚢を積んだ横で立ち話をしているところを反政府勢力側のスナイパーに狙撃されて倒れこむなんて無数に投稿されています。あまり前に出て積極的に攻撃しているようにも見えません、廃墟の街を軍用車両が辺たりかまわず?攻撃しつつも、対戦車ミサイルで攻撃され炎上・爆発シーンも多々あります。

軍事知識のある方なら、当然の事で、あくまでも、反政府軍側が撮影したビデオのプロパガンダ(成功したシーンだけを投稿して、いかにも自軍の戦闘が有利に進行していると見せかけている可能性もある?)ので、いったい、現段階で戦況がどっちに有利(膠着状態?)なのか教えていただけないでしょうか、よろしくお願いします。

 どちらが優勢かは、私が一番知りたいですね。(笑)

  どれだけの兵士が政府軍から離反し、相互の戦力比がどの程度なのかは明確には分かっていません。しかし、かなりの兵士が離反したと考えてよいと思っています。

 さらに、元兵士だった大勢の民間人が政府派と反政府派に別れ、民兵となって活動しています。その人たちの人数はさらに不透明です。

 そこで、双方が占領した地域の面積で、大凡の勢力図を推定することになります。最近はシリアの大半を反政府派が占領しており、そこから推測するに、反政府派が優勢と判断してよいということになります。

  反政府派は当初、攻撃しては逃げるという戦術をとっていました。損害を避けるため、政府軍を攻撃し、反撃を受けそうになったら、その場の占領を優先せずに撤退するというやり方です。敵に確実に損害を与え、自分の損害を避けることが狙いです。ところが、数ヶ月前から、反政府派が地域を占領して、それを維持する方針へ転換したように見えるようになりました。これは反政府派が優勢になった証拠です。首都ダマスカスでは、まだ攻撃しては逃げる戦術を繰り返し、敵がいなくなったところを占領するというやり方です。徐々にゲリラ戦から通常の地上戦へ戦いの姿が変わりつつあります。

 当サイトの過去の記事を検索すれば、アサド軍が次第に劣勢になって行ったのが分かります。

 それから、戦力を決定づけるのは兵士や兵器だけではありません。ナポレオンが言ったように、「軍隊は胃袋で進む」のです。財力の裏付けなしに、軍隊は力を発揮できないのです。反政府派は海外からの支援がありますが、シリア政府には国家の財力があります。私が一番気にしているのは、シリア政府の財布の大きさです。前から指摘しているように、石油資源を反政府派が握ると、シリア政府は石油を国内に供給できなくなり、隣国から輸入するしかなくなります。ヨルダンやレバノン、イラクとの国境を反政府派が押さえると、石油輸入量が激減し、アサド支持派の間にも不安が拡大するでしょう。その辺が、この内紛の限界点ではないかと、私は考えています。反政府派は東部の油田を押さえ、中部ホムスにつながるパイプラインも確保しつつあります。ダマスカスだけでは石油は生産できません。民生を支えられなければ、アサド大統領は指導者としての面目を失うのです。退陣、自殺、暗殺、亡命のどれかは分かりませんが、何らかの結末があるはずです。

投稿者:こうすけ
日 付:2013.4.15

スパイク 様

はじめまして。

軍事は素人なので、「スパイク通信員の軍事評論」の詳細な情報と的確なご指摘をいつも参考にしております。

さて今回の北朝鮮の一連の「挑発」ですが、米韓合同軍事演習に対する対抗措置である、という見方は的はずれでしょうか。

あまり詳しくないので間違っているかもしれませんが、先月から始まった米韓合同軍事演習は、爆撃機まで動員して、今なお続いているのではないでしょうか。

素人考えですが、北朝鮮を標的にした攻撃訓練がこれまでにない規模で目と鼻の先で行なわれれば、北朝鮮がミサイルを発射すると言ってみたり爆撃機を飛行場に並べてみたりするのも無理はないように思うのですが……。

一般には北朝鮮の一方的な「挑発」だとされているのですが、そうなのかな?と疑問に思った次第です。

スパイク様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

 米韓合同軍事演習に対する対抗措置という考え方は間違っていないと思います。毎回、北朝鮮は米韓の軍事演習には反発してきました。ただ、今回の場合、核カードを切り、韓国だけでなく、日本、アメリカまでを攻撃圏内に収めたと宣言した点で、これまでと違っています。話がそこに集中しているので、もともとの原因が見えにくくなっているのは確かです。

 平時には、紛争を抱えている国は、相手国が自国の近くで演習やその他の軍事活動を行うことに反発することがあります。米軍の偵察機が中国の領海ギリギリで偵察活動を行っている時、中国の戦闘機パイロットは目の色を変えて追い払おうとします。公海上を飛行する、合法的な偵察活動であっても、それを許さないという考え方です。

 どの国であれ、自国を防衛する手段がないことが、外国勢力の手によって明確に国民の前に示されることは避けたいことなのです。分かりやすい例では、中国漁船が尖閣諸島の付近で、海上保安庁の船と小競り合いを演じたとき、当時の民主党政権は、これを適切に処理すべきだったのですが、中国人船長を釈放するという理解しがたい対応をして、日本国民から厳しい批判を受けました。その後、尖閣諸島や竹島の問題で、自衛隊投入を主張する声が日本国民の間に高まりました。私はそうした動きに警戒感を持つわけですが、国防という問題では、国民の態度が厳しいものになるのは、日本だけでなく、どこの国でも同じなのです。だから、しばしば国家同士は戦争をするわけです。  さらに、こうした対立が深刻化すると、何が原因だったのかが見えにくくなるものです。太平洋戦争の原因が中国問題だったということは、我々は歴史的事実として理解しています。しかし、当時、関係国の人々は、それを理解しながらも、紛争を回避することができず、大戦に突入してしまったわけです。

 北朝鮮も、演習に対する対抗措置がきっかけと分かっていますが、ここは機会主義的に、米韓から何らかの譲歩を引き出そうとも考えます。このため、目的が対抗措置から外交交渉へといつの間にか変化してしまいます。こうして紛争の中身は当事者が意識するよりも先に姿を変えていき、最終的には「ボタンの掛け違い」と呼ばれるものになるわけです。

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