北朝鮮は攪乱に成功したのか?

2006.7.15

 昨日の記事の中で、北朝鮮がMDの性能を調べるためには、ミサイルを同時に発射する必要があると書きました。これが実際に行われていた可能性があることに、今さらながらに気がつきました。

 CDIの記事で、韓国ではテポドン2が2基発射されたという情報があったことが分かりました。また、韓国軍当局は、テポドン2が空中分解後、7分間飛び続けたとも発表しています。これについて、米国防総省は韓国は別のミサイルと混同している可能性を指摘しました。物理的に空中分解したロケットが7分間も飛び続けるとは考えられません。

 実は、globalsecurityが発表した発射されたミサイルの一覧には、日本政府が発表していない3発目があり、テポドン2は4発目だったと書かれています。

globalsecurity 日本政府
発射時刻 飛翔距離
(km)
ミサイル 発射時刻 ミサイル
3:23 / 3:33 500 スカッドC 3:30 スカッドC
4:04 600 ノドンA 4:00 ノドン
4:59 550 スカッドCか
ノドンA
-
-
5:01 1.4 〜499 テポドン2 5:00 テポドン2
7:12 /:10 500 スカッドC 7:10 スカッドC
7:31 550〜600※ ノドンA 7:30 スカッドC
8:20 500 スカッドCか
ノドンA
8:20 新型スカッド
不特定 不特定 不特定 不特定 不特定
不特定 不特定 不特定 不特定 不特定
不特定 不特定 不特定 不特定 不特定
※は「正確性に疑問の余地があるデータ」

 しかし、ビック氏は3発目の発射は疑問の余地があると主張しています。実際がどうだったのか現在のところは分かりません。3発目と4発目が別個か同一かは慎重に判断すべきです。しかし、別途であった場合、韓国軍は同時刻帯に空中にあったふたつのミサイルを混同した可能性があります。そのため、「2基のテポドン2」「7分間の飛行」といった情報が生まれたのだと推測できます。

 この混乱は韓国軍にMD導入の必要性を感じさせるでしょう。日米の探知結果と違っていたわけですから、韓国軍がそう考えても不思議ではありません。最近、冷え込んでいた韓米関係を締め直すためにも、バーウェル・ベル韓米連合司令部司令官が韓国に対して、MD導入を含む様々な問題に関して発言を始めています。こうした動きが、今後北朝鮮問題にどんな影響を及ぼすかが気になります。

 ミサイルの飛行に関するテレビでの報道はほとんど終わってしまいましたが、日韓米がそれぞれどれだけ正確な情報を得ていたのか、それらはミサイル迎撃に十分なものなのかという問題が残されています。同時刻帯に飛んだ種類の異なるミサイルが本当に混乱を引き起こしていたのか。今回の事件の教訓はここにもあると考えるべきです。

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