昨日引用した朝鮮日報の記事の英語版がビック氏から示されました。彼はこの記事の前半部分に注目し、記事が新型スカッドと推定したミサイルが、今年1月17日にイランで発射実験が行われたノドンBではないかと考えたといいます。この記事にははっきり書かれていないものの、これらのミサイルは6発目と7発目のことを指しているように思えます。このことは、
globalsecurityに4月に掲載された記事で発表されました。私は不覚にもイランでの実験の事実を知りませんでした。ビック氏は、記事に書かれているロケットから地上へ送られる電波(テレメトリー)がこの時の実験の電波と種類が同じだというのです。こんな情報をどこから見つけてくるのか分かりませんが、もしそうなら、今回の演習は射程が4,000kmと見積もられるノドンBを確実に発射できることを示す目的があった可能性が出てきます。
奇しくも、日本と韓国の解析結果が一致し、ビック氏は両者と別の見解を取ったわけです。射程3,000kmの実験に成功し、最大射程が4,000kmといわれるノドンBが実用化されたとすれば、日本全土を攻撃できることになります。ノドンBのCEPは1.3kmといわれており、戦術的な用途にはまったく向きません。CEPをもっと大きく見積もる資料もありますが、今回の演習の結果を見る限りでは10km程度のようなので、都市を狙っても外れる可能性が大きい兵器です。気になる弾頭搭載重量はノドンBのベースであるロシア製SS-N-6の通りなら650kg、改良された場合で950〜1,000kgと推定されています。射程は弾頭重量に大きく左右されますが、弾頭重量に応じた射程距離の変化は分かっていません。仮にこれが数百発あったとしても、すべては自衛隊や米軍の基地、政府施設を攻撃するのに使われ、そのCEPからしてさほどの効果は上げられないでしょう。ドイツのV2ロケットも弾頭重量は1,000kgで、6,000基を生産し、3,000発を発射したといわれますが、空襲に比べると効果は僅かでした。
参考までに、globalsecurityに掲載されたノドンAと性能が同じシャハブ3、3Aの弾頭重量と射程距離の一覧表を掲載します。ただし、いま問題にしているのはノドンBなので混同しないようご注意ください。