迷走するミサイル報道

2006.7.27

 毎日新聞が、北朝鮮のミサイル発射に関して新しい情報を報じました。

 北朝鮮が5日に連射した7発の弾道ミサイルに関する日米両政府の解析作業が難航気味だ。発射実験を行ったことのない新型ミサイルが含まれている可能性が浮上、データの読み取りに予想以上の時間がかかっているためだ。ミサイルの種類で対処方針も異なるため、両政府は発射意図の分析と同時にミサイルの特定を急ぐ方針だ。

 どうも本当らしくない情報です。防衛庁は発射後すぐに新型のスカッドERの可能性を言いだしたのに、ここにきてはっきりしないと変わったのは不自然です。解析結果の公表を曖昧に終わらせるための細工のように感じました。観測結果を従来のデータと照合する作業がそんなに時間がかかるのでしょうか?

 3発目の発射については、両政府は直後に2段式の「テポドン2号」と断定、公表した。これは偵察衛星で監視していたからだった。

 テポドン2は、2段ロケットではなく3段ロケットです。偵察衛星で監視していたのなら分かるはずです。

 また、16日の記事にはこうも書いてあります。

 また、3発目の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」(3500〜6000キロ)は、高度8000メートルに達する前に失速していた。発射直後に燃料漏れなどによる異常燃焼が起きて破損し、周辺に落下物を散乱させながら飛行を続けたらしい。

 「燃料漏れなどによる異常燃焼」だとどうして言えるのか分かりません。飛行の模様を撮影でもしていたというのでしょうか?レーダーに漏れた燃料は映らないでしょうし、燃料漏れは大爆発につながります。テポドン2は1分以内に異常を起こし、その後2分間飛んでから墜落しています。燃料が漏れたのなら、空中で爆発したはずです。空中爆発説は初期の段階で流れた情報ですが、その後、1段ロケットだけは正常に動作していたらしいことが明らかになっています。

 この手の情報は日本政府から入手するのでしょうが、そのまま垂れ流すのではなく、よく検討してからにしてほしいと思います。

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