ビントジュバイル戦の詳細が判明

2006.7.29

 ビントジュバイルの戦闘に関する軍事的な分析と地図を見つけました。イスラエル軍は、エリート部隊のゴラニ旅団、101空挺隊、第7機甲旅団をビントジュバイルに投入しています。戦況をまとめると、次のようになります。(この記事は有料で、利用料金を払わないと読めないようです。しかし、検索サイトで検索したら表示されたので、それと知らずに引用しました。このため、上のリンクをクリックすると、ログイン画面が表示され、記事そのものにはアクセスできません。ご希望の方は利用料を払ってアクセスして下さい。このサイトには無料で利用できる情報もあります)

 7月26日早朝、23日に破壊されたメルカバ戦車を回収するために、ゴラニ旅団はエゴズ大隊(対ゲリラ用の特殊部隊)と51大隊を投入。イスラエル兵が(戦車回収用の)ブルドーザーと共に徒歩で町に接近したところ、100名を超えるヒズボラ兵による待ち伏せ攻撃を受け、釘付け状態となる。激しい戦闘となり、午後になってようやく負傷者の後送が始まる。ヒズボラ兵は、機関銃、RPG、対戦車ミサイル、迫撃砲を装備。防弾ベストや暗視ゴーグルを持っている者が認められた。2台のメルカバ戦車が破壊されたが、攻撃に使われた武器は不明。戦死者は、51大隊の副大隊長ロイ・クライン少佐を含む8名。

 これで追加動員の理由が分かりました。イスラエルはヒズボラの兵力と装備は僅かだと思っており、精鋭部隊を差し向ければ追い払えると思っていたのです。ゴラニ旅団は歴史の古い精鋭部隊で、エゴズ大隊はその中から選んだ優秀な兵士をさらに鍛え上げるといいます。その部隊が苦戦したのでイスラエル政府は驚き、追加動員を決めたのでしょう。

 戦術的な状況も予想の範疇で、定石的な展開です。隠れる場所が多い町に接近すると、手痛い反撃を受けるのも定石ですし、次の展開が町そのものを破壊するような砲爆撃だというのも定石です。おそらく、破壊された車両ですでに進撃路はふさがっており、それを除去しないと前進できません。人員に余裕があるのなら、ゴラニ旅団だけでなく、101空挺隊、第7機甲旅団を同時に投入して攻め落とす方法がありますが、これをやると戦死者が短時間で三桁にのぼる恐れがあります。そこで、砲爆撃で建物を徹底的に破壊して、ヒズボラ兵がそこに隠れられないようにしてから進撃するのです。これも定石的な展開です。当然、白リン弾も使われるでしょう。時間はかかりますが、特別な事情がない限り、ビントジュバイルは陥落するでしょう。そういう戦いが数日中に行われるはずです。

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