北朝鮮のミサイルに関する重要な報道が二つありました。
読売新聞が、咸鏡南道の虚川郡と徳城郡に建設中のテポドン2が配備される可能性がある地下ミサイル基地は70%完成しており、伊川郡に建設中の地下ミサイル基地には、スカッドと27〜30台の移動式発射台を配置していると報じました。また、北朝鮮全域に約200基のノドンが実戦配備されているとも書いています。
伊川郡の基地は明らかに韓国軍と在韓米軍に向けられており、とりあえず日本にとって脅威にはなりませんが、ノドンを移動する可能性がないとは言い切れませんが、移動しても問題の度合いはさほど変わらず、長距離ミサイルを国境の近くには置きたがらないでしょう。
テポドン2の地下発射基地は、そもそも機体のテストが終わっていない上、核弾頭に必要な1t程度の重量を搭載できるかも分かっていません。機体のサイズが決まらないとミサイルを格納するサイロの大きさも決められないと思いますが、とりあえず先日打ち上げた機体に合うように設計しているのかも知れません。今日、韓国のKBSが、テポドン2の発射台が解体されたと報じました。これは、失敗の原因追及の結果、致命的な問題が見つかり、当面、打ち上げが考えられないことを暗示しています。当面、出番はなさそうです。なお、連合ニュースによると、打ち上げなかったテポドン2の機体がどうなったかは、韓国でも意見が二つに分かれています。
地下基地は建設中に場所が分かってしまう上、出入口をピンポイント爆撃でつぶされると、中にあるランチャーと基地を一緒に無力化されるので北朝鮮にとっては得策ではない、と私は考えます。むしろ、分散して予想もつかない場所に偽装して配置されると、撃破するのはほとんど無理になります。
もう一つ、テポドン2は、イランとの協力の下で開発され、イランのシャハブ5と同型であり、テポドン1はシャハブ4と同じだという記事もあります。この事実自体は目新しくなく、globalsecurityがすでに指摘していたことです(図参照)。別の連合ニュースの記事は、ノドンの発射実験を93年5月に一度行っただけで実戦配備したのは、イランとの実験データの共有のためだとも書いています。北朝鮮がテポドン1を一回打ち上げただけで、追加の打ち上げテストをしていないのには、このことが関係しているのかも知れません。つまり、日本人にとって、イランのシャハブ4の打ち上げテストにも目を配る必要があるわけです。これらの事実が示すのは、北朝鮮がイランと技術を共有することです。どちらも国際社会から追いつめられていて、核兵器を保持することを望んでいます。我々は、この連携が壊れる方がよいわけですから、そのための行動を何でも試みるべきです。もちろん、何でもといっても、非武力による方法に限定されます。
連合ニュースの記事は、旧ソ連の技術者が北朝鮮のミサイル開発に関与していると書いていますが、globalsecurityは、テポドン2の1段ロケットに中国の技術が使われていると主張しています。この辺も重要な問題なので、さらなる情報を望んでいます。