疑問が残るテロ未遂事件の信憑性

2006.8.12

 昨日午後になって、事件の直前に犯人の一部がアルカイダと接触していた情報が流されました。これが本当なら、アルカイダの関与は間違いがありません。しかし、情報の出方を見ていると、どうも引っかかるものがあります。

 まず、今回の逮捕がパキスタンで計画が発覚し、それがイギリスに伝えられたということです。犯行は数日後に迫っており、イギリス警察は急遽逮捕に踏み切ったということです。つまり、イギリス警察も、詳細はつかんでおらず、家宅捜索の結果を待たないと、事件の全容は分からないのです。その証拠が、液体爆弾の材料すら分かっていないことがあげられます。ニトロメタンとニトログリセリンに着火するとイギリス警察が発表していますが、これは一例として考えられるものをあげたに過ぎません。たとえば、液体式ロケットの燃料と酸化剤には常温で保存できて、混ぜ合わせるだけで発火するものもあり、種類は抱負なのです。情報源は、アフガニスタンとパキスタンの国境で数週間前に逮捕されたイスラム武装組織のメンバー1人(複数との情報もあります)の証言だということです。これは慎重に判断する必要があります。この容疑者が混乱を引き起こすために嘘を言った可能性もあります。第2次世界大戦時、ドイツの特殊部隊員が捕虜になった時、「自分の任務はアイゼンハワー最高司令官の暗殺である」と嘘をつき、米軍が大混乱に陥ったことがありました。この轍を踏まないためにも、容疑者が知っている名前を適当にあげた可能性を考慮すべきです。

 イギリス警察が発表した事件の詳細はあまりにも大まかで、具体性に乏しく、まだ詳細がほとんど分かっていないことを暗示します。BBCによれば、逮捕された24名の内、1名が釈放されたとのことです。つまり、まったく無関係の人物を逮捕していた訳で、残りの23名にもそういう人がいる可能性を考えざるを得ません。

 マスコミは「テロ計画が発覚した」と報じていますが、本当に内容が分かるのはこれからです。これから報じられる情報に注意を集中する必要があります。

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