連合ニュースによると、韓国軍筋は無人爆撃機を開発しています。韓国軍は高々度と中高度のそれぞれに無人偵察機を導入する計画で、高々度用として昨年、アメリカにグローバルホークの導入を打診しており、中高度用を自国で開発することは知られていましたが、今回分かったのはこれらとは別の攻撃用無人機です。これらは38度線北に設置された長射程の火砲を破壊するために設計されているということです。
韓国のキム・ジョンファン(金鍾煥)合同参謀本部議長が2004年に明らかにした情報によると、北朝鮮が保有する長射程砲は以下のとおり約千門で、このうち休戦ライン近くに300門が配備されているとみられ、これらが同時に発射された場合、推定で1時間当たり2万5000発余りが落ち、ソウル市全体面積の3分の1程度に被害を与えます。
- 170mm自走砲 射程54km 6大隊(約530門)
- 240mm放射砲 射程60km 11大隊(約460門)
放射砲は榴弾砲のことでしょう。北朝鮮の火砲やミサイルはすべて地下に格納されており、攻撃を行う時だけ露出します。火砲が放たれると、発射地点を特定できるので、韓国軍は直ちにそこへ向けて砲爆撃を実施します。しかし、発砲する場合でも、北朝鮮の砲は掩蔽壕から砲身を少し出すだけで、開口部を直撃しない限り、火砲を破壊するのはむずかしいでしょう。誰かが着弾を観測し、より正確な砲撃を誘導する必要があります。偵察部隊をこれほど深く侵入させるのはむずかしいため、無人偵察機の導入が期待されるのです。しかし、偵察機からの報告を砲兵隊に伝えて攻撃するよりは、攻撃能力を持った偵察機を使った方が話が早く、無人爆撃機の開発が検討されることになるのです。レーザー照準によって正確に爆撃できる無人爆撃機は、北朝鮮にとって大きな脅威となります。韓国にとっては防衛的な兵器でも、北朝鮮にすれば韓国軍が北進する際、本土防衛のために砲撃を行おうとした砲列を沈黙させるための兵器でしかないからです。真に防衛的な武器など存在せず、何らかの形で相手国に脅威を与えるものなのです。
この無人爆撃機がどう運用されるかは明らかではありませんが、重量のある誘導ミサイルを沢山搭載することはできないため、偵察機として砲撃を誘導し、撃ち漏らした砲をつぶすのに使うのではないかと考えられます。当然、無人爆撃機はミサイルも攻撃対象としており、ノドンやスカッドなど、移動型のランチャーを攻撃するのにも使えます。実は、このことは日本のミサイル防衛に大きく関係することでもあります。なぜなら、北朝鮮が西日本を攻撃しようとすると、韓国を攻撃するのと同じ方位に向けてミサイルを撃つことになり、その場合、韓国軍が自国本土への攻撃とみなして無人爆撃機で反撃することになるからです。また、韓国は日本の敵地攻撃論を無人爆撃機の整備によって封じることができます。「もともと、日本に朝鮮半島を攻撃する権利はなく、北朝鮮のミサイルは我々が破壊する」と主張できるからです。
無人爆撃機の導入は、先日打ち上げた人工衛星「アリラン2号」と共に、戦時作戦統制権を韓国に移譲する一環です。韓国が近代国家として未だに果たしていないものに、自国の軍隊による完全な防衛体制があります。かつては日本軍がおり、その後、米ソによる分割に等しい占領統治を経て、朝鮮戦争、休戦後の現在があります。米軍とは軍事同盟関係を維持したまま、北朝鮮の南進に対しては自分で防衛するのは、独立国家として当然のことでもあります。曲がりなりにも北朝鮮がそれをやっているのに、韓国にはできないとは考えたくありません。しかし、作戦統制権の移譲は防衛力を弱めるだけという批判が韓国国内にあります。こうした動きは日本に少なくない影響を与えるため、注意してみる必要があります。