AP通信によれば、ヒズボラの指導者・ハッサン・ナスララ師は、戦争になると分かっていたら、イスラエル兵の拉致を命じることはなかったとテレビ・インタビューで述べました。「拉致がこの度の、このような大きさの戦争を導くとは、1パーセントも考えなかった。あなたは、7月11日に、この作戦がこうした戦争を導いたと知っていれば、私が命令を下したかと問うた。私は拒絶する、絶対に。」
ここから分かるのは、この戦争がヒズボラの誤算によって、ヒズボラの主導ではじまったということです。これで、ヒズボラの目的が見えなかった理由の説明がついたと感じました。ヒズボラは十分に準備をしてから戦争をはじめた訳ではなく、それでこの戦争の第一の責任がナスララ師にあるのは明白です。イスラエルが開戦せざるを得ないような挑発行為を行い、ごく小さな紛争で済むと誤認したため、双方が意味のない戦闘を行うことになり、多くの一般市民が死傷しました。しかし、そうした戦争でヒズボラの戦闘員が高い能力を示した点は注目せざるを得ません。後学のために戦闘の詳細を知りたいところですが、ヒズボラ兵の行動が分かるとは考えにくく、精々イスラエル兵の体験記程度が簡単に報じられる程度でしょう。
イスラエル兵の拉致事件にイランが関与していなかったとは言い切れません。今回、ヒズボラがイラン製の武器を大量に使ったことも、イランとの関係を考えざるを得ません。また、今回のイスラエルの苦戦ぶりが、イランにどんな影響を与えるかも気になります。こうした影響は、今後徐々に分かってくるでしょう。