陸上自衛隊第4師団玖珠駐屯地での武器紛失事件に関する報道が、昨日ありました。ようやく、事件に関わったと見られる隊員数名が調査されているという発表がありました。これは発覚後すぐに始まったことが、あとで発表されたということで、調査に時間がかかったことを意味するものではないでしょう。
しかし、鍵の保管など、事件が起きた理由を聞いて驚きました。武器庫の鍵は幹部ではなく、陸曹に管理が任されており、その陸曹は、「常に身につけていること」という規則を守らず、自分の机の引き出しに入れていたというのです。これでは、席を離れた隙に、誰かが鍵を持ち出すことを防げません。銃砲所持者にもまったく同じ義務が課せられており、銃器ロッカーと弾薬ロッカーはできるだけ別々の場所に保管し、鍵は常に携帯すると決められています。また、点検の時にも、銃に触って確認するのを怠っていました。そのせいかは分かりませんが、最後の点検から事件発覚まで数日間経過してしまっています。これでは、いくら駐屯地内を探しても見つからないでしょう。小銃は分解して、手持ち荷物の中に入れて持ち出されたに違いありません。
64式小銃の弾丸は銃身内径が7.62mmのNATO弾ですが、特殊な弾ではありません。狩猟用のライフル銃にまったく同じ物があり、.308 ウィンチェスター弾なら64式小銃に使えます。しかし、猟銃所持者なら誰でも買えるわけではありません。銃砲所持免許には所持している銃砲の型を記載した欄と、弾薬の売買欄があり、銃砲店はお客が持っている銃を確認し、適合する弾しか売ってはいけないことになっています。当然、警察は銃砲店や適合する銃を所持している者への聞き込みを行い、最近、大量に弾を購入した者がいないか調べているでしょう。弾が必要になるのは、猟期前のスコープ調整、猟友会の大会、狩猟期間内と決まっていますから、普段、あまり練習しない人が弾を沢山買えば、すぐに目立ってしまうのです。所持するのに最低10年かかるライフル銃の免許や銃砲店の営業許可を取り消されるのと、64式小銃が撃てるという誘惑を比べれば、前者が勝つに決まっていますから、銃砲関係者がこの事件に関わっている可能性は非常に小さいと思います。やはり、気になるのはマニア筋です。非合法に手に入れた弾で射撃を楽しみたいという者が、自衛官を使って盗ませた可能性を考えますね。