J-RCOMの方にあがったご意見で恐縮なのですが、民間の猟銃用の弾で64式小銃は撃てるかということについてです。
火薬の量を少なくした弱装弾で筒内爆発が起きることは、まず考えられないと思います。もう少し噛み砕いて言うと、火薬を減らして使うように設計した64式小銃に、同じ形式の弾でも猟銃用の強力な弾を装填した場合、火薬の威力が強すぎて薬室が耐えられず、銃身が膨らんだり、破裂するという問題です。
通常、銃身は通常の装薬の3倍でも破裂しないように設計されます。64式小銃の開発に関わった津野瀬光男氏の「幻の自動小銃」には、開発ではオリジナルのNATO弾の火薬量を、95%、90%、80%、45%に変化させた4種類を用意し、90%前後が最適と判断したと書かれており、オリジナルと弱装弾の火薬量は10%しか違いません(125ページ・かや書房版)。また、100%の弾の初速(弾が銃口を飛び出した時の速度)の測定結果も掲載されていることから、オリジナルのNATO弾で発砲しても問題はないことになります。また、同書には、64式小銃での銃腔膨張は、組み付けの具合で起こったものだけが確認されているとあります(176ページ・同版)。
また、実銃を扱える者がこの事件に関与していた場合ですが、自分で弾を作る技術も持っている可能性が高いと思います。そういう人は、64式小銃に関する情報を持っているでしょうし、どれくらいの火薬を充填すればよいか分かっているはずです。銃砲店では、完成品の弾だけでなく、弾頭、薬莢、雷管、火薬を別々に購入することもできます。様々な種類の弾を自作することは可能で、単発でのテストから連射へと、安全に発展させることは可能です。
排出された弾が詰まってしまう問題などは起こりますが、それ以上の危険はないと考えて差し支えないと思います。自衛隊の場合、貯蔵していた弾を使うことがあるので、ジャミングが多く起こるのかも知れません。通常、狩猟用の弾は必要なだけ購入して、使い切るようにします。それでも、長く保存した弾で問題が起こるということは、猟銃の場合はほとんどありません。