military.comに掲載されたAP通信の記事によると、イラクの治安悪化により、アメリカは州兵と予備役をさらに招集するか、現役の陸軍部隊を派遣するかむずかしい決定に迫られています。
指揮するジョン・アビザイド大将は、来春まで14万人態勢か、それ以上が必要になるかも知れないと述べました。現在、6月よりも2万人多い、14万5千人の兵士が派遣されています。去年の暮れ、兵士の数は10万人以下に減らせるとの見方が出ていましたが、それは不可能になったと、大将は述べています。つい最近、イラク保安部隊が自力で活動できるようになったという喜ばしいニュースが流れたはずですが、どうやら実態とはかけ離れていたようです。
イラクのマリキ首相が、このままでは治安維持は困難とみて、派閥抗争を終わらせる手段を講じると述べたという報道がありましたが、トニー・スノー大統領報道官が「まったくの嘘だ」と否定したとも、この記事は書かれています。こうした食い違いを目にするたびに、私は不安を感じます。現場がどうなろうと、ワシントンは「うまく行っている」というように思われるからです。
陸軍はイラクとアフガニスタンに派遣する旅団の数を増やそうとしていますが、目標が42旅団なのに対して、現状は6旅団に過ぎません。このため、2004〜2005年に標準以上多くの州兵がイラクに派遣されたのです。現在、陸軍部隊は1年間、イラクとアフガニスタンに派遣されると、本土で2年過ごすというサイクルが崩れ、もっと早いサイクルで派遣されています。陸軍は州軍と予備役を1年から5年を超えて動員しないと確約しています。しかし、増派が必要となれば、陸軍の増員が確実だと考えられています。
悪化しつつあるこの状況を何年持ちこたえられるのかが問題です。アメリカが限界となれば、他の国にバトンタッチという話になるでしょう。先がどうなるかは、誰もが予測できるはずですが、誰もそれを止めることができないのです。