アーミテージ前国務副長官が、パキスタンの情報機関の責任者に「空爆の覚悟をしておけ。石器時代に戻る覚悟もしておけ」と脅迫したとムシャラフ大統領が述べた件で、アーミテージ氏が事実関係を否認したという報道を共同通信が報じました。
AP通信の記事によると、ムシャラフ大統領のインタビューは有名なテレビ番組「60ミニッツ」で出たものです。有名な番組だけに、反響が大きかったことは想像できます。アーミテージ氏は完全に事実関係を否定したのではなく、空爆すると脅したことだけで、強い言葉を使ったことは認めています。彼がAP通信ラジオで述べたところによると、「軍事的な脅威は提示しませんでした。私はそのような権限を与えられていません。そうしたことは起こりませんでした。それは短い、率直な会話でした」と述べ、攻撃を受けたアメリカ人の感情をパキスタンの政府に伝えたかったのだと言いました。
湾岸紛争の事例を参考にすれば、アメリカは辛抱強く交渉するのが普通で、アラブの国王が延々と演説をぶっても黙って聞くものです。9・11直後の段階で、こうした強硬な外交をアメリカが行ったとは考えにくく、おそらくは言葉の行き違いだろうと考えます。しかし、「敵についたら、アメリカは絶対に許さない」という程度の発言はしたのでしょう。ムシャラフ大統領は何かアメリカに不満を感じる部分があって、インタビューの場を使って報復したのではないかと想像してしまいます。
ブッシュ大統領は、この件に関してパキスタンは盟邦だと強調し、事態の沈静化を図っています。しかし、パキスタンがアルカイダの捜索をやる気がないことは、繰り返しメディアが報じています。アメリカとパキスタンの関係は利害関係だけで成り立っていることを忘れるべきではありません。