イギリスのデイリー・テレグラフ電子版は、平壌のロシア軍関係筋の情報として、北朝鮮の核兵器は長崎に投下されたものと同じ20キロトンの爆発力を持ち、全長約10フィート、重さは約4トンだと報じました。
この情報はロシア軍筋で、北朝鮮の発表ではないことから、情報源の段階で伝聞情報だと考えられます。そのため、確定的な事実と考えることはできません。しかし、長崎型原爆と同じ規模なら被害の規模は考えやすくなります。すでに分かっている爆発の規模を、東京のような平地と人口密度の場所で爆発させた場合どうなるかを考えた結果が、デイリー・テレグラフが報じた推定値です。長崎の原爆被害は73,884人でしたが、山による爆発の低減や人口密度の低さが幸いした部分があります。東京のような過密地帯ではもっと大きな被害が出ることになります。
4トンという重量が本当なら、北朝鮮はまだミサイルに核兵器を搭載する能力を持っていないことになります。北朝鮮が4トンの爆弾を運ぶ輸送機も、それを護衛する戦闘機も持っていないことから、日本は安心して良いことになりますが、650kg級の爆弾だという情報もあります。プルトニウム型原爆の威力を高めるためには、核爆発によってまだ臨界を起こしていないプルトニウムが飛散しないように、また中性子が核爆弾内部で反射して臨界を継続するように、ウラニウムで爆弾を覆う必要があります。そのため、爆弾全体の重量が重たくなってしまうのです。北朝鮮がどれだけこの技術をどこまで進化させられたかがポイントです。そして、そこまではいくらロシアでも知らないはずです。
先に述べたように、北朝鮮は核実験と外交交渉の両方を狙っています。いまは、国連決議が出て、各国がそれぞれの立場で北朝鮮と交渉を試みている段階です。その結果が出るまでは、核実験は行わないでしょう。有利な条件が出れば、北朝鮮はそれに食いついていくはずです。ロシアは、アメリカが金融制裁を解除し、交渉で最大3カ月の猶予を与えるという情報を北朝鮮に伝えているようです。ロシアが入手したという情報が本当かどうかは疑問です。しかし、北朝鮮はこうした情報がすべて出そろうまで実験を待つでしょう。それから、それぞれの情報を検討し、実験を行うかどうかを決めるはずです。核実験を早期に行うという情報もありますが、ただ孤立するような選択を北朝鮮が行うことはないだろうと考えます。