本日午前、北朝鮮が地下核実験を行ったという報道が流れました。実験場所は予想されていた咸鏡北道(ハムギョンプク・ト)のの花臺郡(ファデ・グン)とみられています。
私は外交交渉の成り行きを見守ってからと考えていましたが、北朝鮮は自らのスケジュールを優先したようです。ちょっと意外な気分です。北朝鮮はこれで六ヶ国協議を蹴るつもりなのでしょうが、なお一層の孤立化は避けられません。
しかし、爆発の規模が通常の核爆発に比べると小さいということです。これは、今朝書いたように、ウラニウムで爆弾を覆う方法が不完全だったことを示唆します。核爆弾の欠点は、すべてのプルトニウムが臨界になる前に、自分が起こした爆発によってプルトニウムが吹き飛ばされ、ごく一部しか爆発しないことなのです。臨界状態では爆発に至らないので、そこに中性子を浴びせて爆発させる必要もあります。高密度の状態で臨界状態を起こし、そこに中性子を多く浴びせるのが必要なのに、核爆発はそれを吹き飛ばしてしまうのです。そこで、ウラニウムで爆弾全体を覆い、少しでも長い時間…と言っても一瞬なのですが…プルトニウムを爆弾内に留める工夫が行われます。爆薬を均等に爆発させて、均等に爆弾の中心部に集める必要もあります。これが不完全だとごく一部のプルトニウムが爆発するだけなので、爆発は小規模で終わります。爆発が小規模だったということは、これが起きた可能性があります。ロシア筋が言う、20キロトン未満の威力もあながち外れていないかも知れません。
もし、そうであった場合ですが、ミサイルに搭載できる小型核爆弾を作ろうとして失敗したのか、通常の核爆弾を作ったのだけどやはり失敗したのか、いずれかであると考えられます。これは日本にとって安心できる材料ではありますが、そうであっても、かなりの放射線をまき散らす危険な武器といえ、通常爆弾以上の威力を持つと考えるべきでしょう。問題は爆弾の総重量と大きさです。ノドン・ミサイルに搭載できるかどうかで日本への脅威は大きく変わります。搭載できない場合、北朝鮮は防衛用に核爆弾を使う用意ができたということになります。米軍が攻めてきた場合、国土を犠牲にしてもお見舞いできるというわけです。また、中国の北朝鮮への影響力は一段と低くなりました。
北朝鮮は核実験が安全に行われたことを強調していますが、米ソの核開発の経歴からみても、国内での核実験では多数の人的な被害が出るものです。北朝鮮でもそれが起きた可能性は否定できません。韓国や日本への被害はなくとも、そうした被害を頭から否定はできません。また、当面、北朝鮮の農水産物の輸入は止めなければなりません。日本政府はすぐに関係部署へその通達を出すべきです。
確実なことは、これからの調査を待つべきでしょう。通常爆薬を用いた偽装された核実験である可能性も否定はできません。
とりあえず、現段階で言えるのは以上です。