シールズ隊員が味方をかばって殉職

2006.10.16

 military.comによると、9月29日、海軍特殊部隊シールズのマイケル・A・ モンソール二等兵曹(25)が、イラクで味方を救うために戦死しました。彼は、屋上に通じる唯一のドアの近くに立っており、武装勢力が投げた手榴弾が彼の胸でバウンドして床に落ちました。モンソールは手榴弾の上に覆い被さり、手榴弾は彼の体の下で爆発しました。2名が負傷しましたが、他は無傷でした。

 意外なことに、モンソールはシールズで二人目の殉職者だそうです。彼は5月9日、ラマディの武勲で銀星章の受勲が決まっており、死後、授与されました。そして、フォート・ローズクランス国立墓地に埋葬されました。さらに、殉職した件でも受勲が申請されました。この勲章は銀星章よりも上位の3つの海軍の勲章(海軍十字章、防衛殊勲章、海軍殊勲章)か、名誉勲章のいずれかと考えられます。イラク戦では、これまで名誉勲章はただひとりしか出ていません。そのため、米政界はモンソールに名誉勲章を与えたがるでしょう。特に、出番を作りたいブッシュ大統領が望みそうです。

 不思議なことに、こうした美談めいた話は戦闘の記録を読んでいるとしばしば耳にします。こうしたことは映画向きの架空の話のように思えますし、訓練で教える戦技でもないのに、いざとなると兵士はやってしまうのです。軍事問題を考える上では、これは美談として捉えるのではなく、兵士の心理を考える手がかりと見るべきです。こうした勇敢な行動もするのに、虐殺もやるのが兵士の実態です。その特徴を知っていると、戦争の様相も考えやすくなります。

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