military.comによると、15年間の開発期間を経て、歩兵用のハイテク装備が実戦に投入されます。米第9連隊第4大隊のマンチューズ・チームは「ランド・ウォリアー・スーツ」を持って、来年イラクに派遣される予定です。
この新装備には、制服に電子機器(無線機とGPS)が内蔵されていて、部隊全体をネットワークでつなげます。ヘルメットに取りつけられたモノクル(片めがね型の装置)には、自分と戦友の位置が表示されます。このモノクルは銃器の照準にも連動しているため、建物の角から銃だけを出して、自分は隠れたまま射撃できます。しかも、12倍のズーム機能も持ちます。通常、狙撃銃の望遠照準器の倍率は4倍程度で、それ以上の倍率は特別な狙撃銃にしかつけられていません。この機能はすべての兵士を狙撃兵に変えます。暗視装置とレーザー照準も銃器に組み込まれました。しかし、この装備はまだ総重量、堅牢性、使いやすさに問題があるとされ、当面はマンチューズ・チームの指揮官が全装備を、ライフル銃手はGPSのビーコン機能だけを装備するとのことです。
この派遣がランド・ウォリアー・スーツの最初の実戦でのテストになります。しかし、この装備はイラク戦に多少の足しにはなりますが、戦況に変化を及ぼすようなものではありません。こうした機能は計画的な軍事行動には役に立ちますが、待ち伏せを受けるだけの現在のイラク戦の中では、さほど効果を発揮しないでしょう。IEDで突然ドカンとやられるような状況には、この装備はほとんど無力です。とはいえ、米軍の装備品だけがどんどん未来化して、他国との格差が広まることには警戒感が必要です。