先日のチェイニー副大統領の「朝飯前」発言のおかえしなのか、民主党のケリー上院議員が舌禍事件で共和党から追求されています。大学生の前で「君たちがしっかり勉強し、宿題をこなせば、うまく行く。そうでないとイラクで身動きがとれない有り様になる」と言ったことが、米兵全体に対する侮辱だというわけです。この手の話はアメリカではよくあることで、しばし人々の視点をそらせる悪影響を及ぼします。そんなことよりも、アメリカがイラクに増派する方向で動いていることの方がよほど重要です。そして、ヒズボラがいち早くロケット弾を補充し、3万3千発を用意したと宣言した方が重要なのです。
インデペンデント紙が1日、予想以上に悪いバグダッドの状況を伝えています。これまでシーア派がスンニ派を弾圧しているという印象が強かったのですが、この記事はスンニ派がバグダッドを分断していると書いています。恐らく、この記事は最も悲観的な内容でしょう。
バグダッドの北と南はスンニ派の武装勢力によって道路封鎖され、分断され、包囲されています。デヤラ州(Diyala)を通ってヨルダンに至る幹線道路はスンニ派によって封鎖されています。バグダッドの外に通じる重要な道路沿いにあるマハムディヤ(Mahmoudiyah)、バラド(Balad)、 バクバ(Baquba)のような市場町もスンニ派に占拠されています。バラドの南に偽の検問が設けられ、30人のシーア派信者がバスから引きずり出されました。スンニ派の包囲により孤立している地域では物資不足が顕著となっています。ある市民は、ここ数週間はスイカとパンだけで暮らしていると証言しました。市内にはシーア派の武装勢力がいて、市街はスンニ派が押さえ、包囲しているという状況だと記事は書いています。
さらに、イラク人は毎週千人が死んでおり、イラク赤新月社によれば、150万人が家を捨てたといいます。バグダッド市内は南北に大河が流れ、東西の地区を仕切っていますが、米軍は河に架かる橋のいくつかを封鎖しているといいます。バグダッドにはシーア派指導者ムクタダ・サドル師がいます。彼が指揮するマハディ軍の本拠地サドルシティは、誘拐された米兵士を捜すために米軍によって包囲されていましたが、この包囲作戦は最近、イラクのマリキ首相の要請で終了しました。その間にスンニ派が勢力を取り戻したのでしょうか?
ここ数週間、スンニ派がバグダッド北部を支配しているのならすでに日本で報道されていてもおかしくないはずですし、海外のニュースにも表れるはずです。記事の信憑性は慎重に判断したいと思います。