BBCによると、バグダッドで83体ものイラク人の死体が2日間のうちに発見され、米兵が7人も殺されるなど、イラクの暴力の激化は歯止めが利きません。米軍は13人の武装勢力を殺害した模様です。military.comに載ったAP通信の記事にも、暴力の激化について、いくつかのデータが載っています。
それによれば、10月に殺害されたイラク人は少なくとも1,300人でした。しかし、icasualties.orgによるとイラク軍も含めた死者は1,539人です。また、9月は3,539人、8月は2,966人という記録的なものでした。国連難民高等弁務官によれば、イラク侵攻以降、今年10月までに914,000人のイラク人がシリアとヨルダンに疎開しており、月ベースでは10万人程度で、その他の者を含めると180万人が隣国に、160万人が国内に住んでいると見積もっています。
これでもイラクが内戦ではないと言う人はいないでしょう。ブッシュ政権を除いては。
フセイン大統領の判決公判が近いことから、イラク軍は休暇返上で警備にあたることになったようです。最近、スンニ派が勢力を取り戻したことが明らかになったようで、イラク出身の米軍通訳を誘拐したのはバース党の残党だという情報があるのが気になります。
この悲惨な状況はほとんど日本では報道されていません。日本人の7割が「イラク派遣はよかった」と思うのも無理はありません。そして、アメリカは中間選挙のまっただ中で、共和党はイラクから国民の目を逸らさせるのに必死です。ブッシュ大統領はイラクの現状については語らず、同時多発テロが大衆に与えた恐怖感を呼び覚ます方法で、アメリカを救えるのは自分だという印象を植え付ける作戦に出ているようです。ミズーリ州での選挙演説を報じたワシントン・ポストの記事には、そうした様子が語られています。