先日、司法取引に応じて証言したジェームズ・バーカー技術兵(23歳)の判決公判が行われました。しかし、国内ではやや大ざっぱに報道されているようです。毎日新聞は「禁固90年」とだけ報じていますが、armytimesは「終身刑」としています。どちらが本当なのかと思ったら、wtop.comに答えがありました。
Barker got a life sentence but will not serve more than 90 years in prison.
「終身刑だが、収監は90年を超えないものとする」という判決だったのです。つまり、バーカーは刑務所で113歳まで生き続ければ、釈放されるのです。しかし、この終身刑には抜け道もあります。20年間、刑に服すれば仮釈放になる、と記事は付記しています。アメリカには仮釈放なしの終身刑がありますが、それではないのです。43歳で、事実上、自由の身になれることが、司法取引の恩恵だというわけです。
バーカーが認めた容疑については、以下のように報道内容の差が見られます。
バーカーの容疑について、毎日新聞の記事は裁判初期の情報かも知れません。バーカーが司法取引に応じる際、事実ではないとしても殺人への関与も認めた方が減刑を確実にできると判断した可能性は十分にあります。
この判決により、コルテス軍曹とスピルマン上等兵の極刑はほぼ確定です。グリーンは連邦裁判所に起訴されており、検察官は彼に死刑を求刑するかをまだ決めていませんが、それと実際に判決がくだる可能性は十分にあります。
バーカーは計画的殺人を認めましたが、米軍の統一軍規法典では、殺意のない殺人と計画的殺人を明確に分けていて、罪の重さも違います。「合法的な一般命令への違反」は、上官から違法な命令を受けた場合、拒否しても罪にはなりませんが、理由なく拒否はできないという軍法の基本概念を意味します。当時、彼らはイラク女性を強姦せよという命令を受けているわけがなく、それを自己の判断で行った点が重大な違反行為であるとされたのです。しかし、よくもこれだけ罪を並べたものです。アメリカ市民としても知っているべきことですし、基礎訓練の中で教官から説明は受けているはずです。
国内報道は、バーカーが二度と社会に出られないのに司法取引に応じたと受け取れる内容になっている点で誤っています。普通、人は何の利益もないことはしないものです。その辺を裁判官がどう考えたかまで書いてほしいと思います。