ハムダニヤ事件で死刑の可能性がある被告が8人から4人へ減りました。先のレポートで、私は8人ではなく7人だと認識しており、そう書きました。この手の事件では、容疑者の数が報道によって異なり、しばしば混乱させられます。
military.comによれば、先日までに、ジョン・ジョッカ三世上等兵、メルソン・J・バコス3等海曹、タイラー・A・ジャクソン兵長の3人が司法取引に応じましたが、さらに一人が司法取引に応じた模様です。彼の裁判は一週間以内にはじまります。
この司法取引の多さは、軍事裁判の専門家にとって驚きのようです。ジョージタウン大学で戦時国際法を教えているゲーリー・ソリスは、「これが軍の法制度の中で起きていることに驚かされる」と述べています。軍司法関係者はこれ以上の司法取引が行われるかは微妙だと考えています。一連の司法取引が検察官と弁護士のどちらが提案しているのかは分かりませんが、どちらにせよこれから開かれる事件の核心にいる被告の裁判で使われることは間違いありません。それらの裁判の検察官と弁護士たちは、先に行われる裁判の模様に注意を払っていることでしょう。
それから、この記事には、被害者のアワドは11人の子供と4人の孫がいる、退役警察官であると書いています。検察官のジョン・ベイカー中佐は、アワドは寛大な優しい男で、海兵隊員は彼のような男を助けるために派遣されたのだと述べています。これは、現地でCID(犯罪捜査部)が調査したことを元に述べているのでしょう。イスラム教の人は、大体が寛大で親切なものです。基本的には言葉は丁寧だし、だからこそ怒り出すと手がつけられないところがあります。優しさについても、西欧的な優しさとは性質が違っています。しかし、陪審員たちは、つい自分たちの常識で考えてしまうでしょう。
このサイトでは、繰り返し軍事裁判の模様を解説していますが、これは平時と有事の軍事裁判は内容が異なり、戦争中の軍事裁判の実例を見る機会は希だからです。こうした裁判の実例を頭に入れておくことは、軍隊という組織の活動を考える上で大変に有用なのです。なぜなら、軍事裁判の規範は、その軍隊が戦場で兵士に求める規範そのものだからです。つまり、戦争を見る上で、軍事裁判の模様は極めて参考になる情報なのです。
ちなみに、この記事を議論する掲示板には、この司法取引の数は、アラブ人に我々の司法制度に対する疑惑をかき立てるだけだという発言が書き込まれています。サダム・フセインは死刑なのに、同じ殺人を犯した者と我々は司法取引をしているというわけです。