また、イラク情勢の悪化を示す情報が出てきました。military.comによると、ファルージャが武装勢力の拠点になり、イラク軍にはそれを阻止する能力がないというのです。
人口30万人のファルージャは、2004年11月の戦闘で廃墟になりましたが、いまは電気と水道が復旧し、多くの住民が戻りました。イラク陸軍はファルージャの60%以上を米軍の顧問の指導の下でパトロールしています。しかし、それでも武装勢力の力を阻止することができずにいます。
イラク軍では上官が部下に、制服や軍靴、懐中電灯、手袋など、基本的な装備品を販売する習慣があり、米軍顧問たちは不満に感じています。イラク陸軍第1機甲師団第2旅団では700人以上の隊員が不足していますが、その実数は脱走や書類の上だけに存在する幽霊兵士のためにもっと多いのです。ピーター・キアレッリ中将の政権移行作業チームは465人のイラク軍人と作業していることになっていますが、その実数は約300人です。ファルージャの米軍訓練チームの先任顧問ジェームズ・テープレス中佐は、多くの問題がイラク国防省の汚職から起こると述べています。平均的な兵士の月給は700ドル以下なのに、将校たちは部下たちから金を取り立て、旅団指揮官に15,000ドルの賄賂を払うのです。そのために誠実なイラク軍人までが弾薬などの補給品を盗み、路上で売って金を用立てます。政権移行作業チームのメンバーであるザビエル・トレス中尉は、多くの技術をイラクの軍人に教えないようにしていると言います。彼らを狙撃兵にすれば、自分たちが狙撃される可能性があるからです。
ファルージャはバグダッドから西の方角にあり、シリアに通じる幹線道路上にあります。ファルージャがあるアンバル州はスンニ派とアルカイダによって占拠され、バグダッドの一部にもスンニ派の勢力地域があります。シーア派による大量虐殺を防ごうとするスンニ派は、この地域にかじりつこうとしています。これはもう、イラクはアンバル州が独立する形で分裂するとしか考えようがありません。そこへきて、ボスに上納金を支払うアラブ人の習慣が装備品の欠如を生んでいます。おそらく、米軍が給与した武器が大量になくなったのは、これが原因でしょう。テープレス中佐は弾薬を例としてあげましたが、立場上、銃器とは言えなかったのでしょう。しかも、イラク軍からの攻撃を恐れて米軍が十分な教育ができないのだから、米軍がイラク軍を創設するというアイデアは最悪だったことが立証されたことになります。怪獣ブースカに言わせれば「シオシオのパー」です。
普通、世の中をここまで混乱させれば責任を取らなければならないのですが、ブッシュ大統領にそんな気はありませんし、部下(ラムズフェルド)の首を切って取り澄ますだけです。仮に責任を取るにしても、自決したところで何が解決するわけでもありません。これは身の丈以上のことはしない方がよいという教訓でしょう。