米議会でロバート・ゲーツ氏を国防長官に任命する手続きがはじまり、その経緯がMilitary.comが報じられています。ゲーツ氏を承認するのに問題になるのはイラク政策とこのイラン・コントラ事件への関与です。民主党も彼を承認することに積極的で、承認される見通しとなりました。
問題はゲーツ氏がどんな戦略転換を考えているかです。聴聞会でのゲーツ氏の発言を見ると、やはり伝統的な態度に従い、失敗は認めてもそれを拡大しないところが見られます。「イラクでアメリカは勝利しつつあると思うか?」との問いに、ゲーツ氏は「いいえ、思いません」と答えながらも、そのあとで「現時点では、アメリカは勝っているとも負けているとも考えます」とも言っています。私の考えでは、イラクに侵攻しようと思った時点でアメリカは負けたのです。それをはっきりと認識しないと、正しい転換はできないでしょう。結局、彼もブッシュの父親の人脈の一人で、その路線から逸脱することはないのです。
「私の考えでは、イラクでの問題をどう扱うかについて、すべての選択肢はテーブルの上に乗っているのです」とも、ゲーツ氏は述べました。これは言いかえると、「万策はすでに尽きております。目新しいアイデアは何もありません」ということです。これからアメリカが行う政策は、ブッシュ政権が生んだ悪政を修正するための活動で、画期的なものにはなりません。それでもやらなければならないゴミ拾いなのです。栄光や勝利を期待しないことが大事なのです。