military.comによれば、トルコで、2003年3月に起きた奇妙な事件の判決が下されました。
米海軍のトマホーク・ミサイルが目標を外れて、トルコ南部のシャンルーウルファ(Sanliurfa)に墜落しました。米軍は同じくトルコ南部にあるインジルリク(Incirlik)空軍基地から約12人の隊員をミサイルの残骸を回収するために村に向かいましたが、約75人の村人から石と卵を投げつけられ、4台のハンヴィーの窓が壊れ、隊員1名が負傷しました。トマホーク・ミサイルはイラクに向けて発射されましたが、その週だけでも2基がトルコ国内に墜落し、シャンルーウルファに落ちたのは3基目でした。被告たちの弁護人は「米軍人に対する民主主義的な反応」と主張し、判決も全員を無罪としました。
米軍軍人たちは、ミサイルの機密保持もありますが、爆弾や燃焼していない燃料などが爆発して、市民が怪我をする危険性を防止するためにも自分たちが回収する義務があると考えます。しかし、村人にすれば、危険なミサイルを落下させた張本人たちがやっってきたのであり、抗議の意味で物を投げつけることも自然な行為なのです。暴力がこれ以上に発展した場合は別として、無罪は妥当な線だといえます。
この種の事件はこんなものです。アメリカとトルコは同盟関係にあり、イラク侵攻では米軍部隊の通過は認めませんでしたが、基地の提供などで最大限に協力しました。その同盟相手を攻撃したのだから村人は有罪だという主張が成り立つことになります。日本で同じようなことが起きたら、検察は被疑者を当然のように起訴するでしょう。総理大臣自身や与党の政治家たちは、米軍兵士を攻撃した国民を批判するでしょう。そして、裁判所が有罪を下す可能性も十分にあります。
米軍はしばしば外国で、飛行物体そのものを墜落させたり、兵器を航空機から落下させたりします。沖縄でヘリコプターが墜落した事件が起きた事例もあります。これは米軍だけの問題ではありません。自衛隊を海外に派遣した場合も、同種の事件が起きるのは否定できないのです。そうしたことも考えた上で海外派遣の是非を考えなければなりません。