military.comによれば、かつて第2次大戦と朝鮮戦争の退役軍人1,946人に対して行った研究が、心的外傷後ストレス障害が心臓発作の危険を高めることを示唆していましたが、今回、陸軍が資金を提供した研究がイラクで戦闘を経験した男性兵士2,863人を調査したところ、その関連性が証明されました。
戦闘から1年後に行われた調査で、PTSDは銃を撃つのが好きになる「trigger-happy」、苛々、不安、悪夢、フラッシュバックなどの傾向が見られます。こうした症状はアドレナリンを頻繁に生み、その結果、心臓血管系のシステムを疲弊させ、心臓発作につながると考えられます。
記事によると、PTSDが認められたのは1980年のことでした。思い起こすと、第1次大戦の時、シェル(砲弾)・ショックと呼ばれる精神病が確認されていますが、軍はその後も正式に病気だとは認めていませんでした。それが、ベトナム戦争帰還兵の調査でようやく認められたものです。その後に行われた調査についても記事は触れています。1986年に46項目、1990年に35項目の健康調査が行われています。これらの調査の結果、やはりPTSDと心臓発作の関係が高まったとされていました。それが今回の研究でさらに裏づけられたわけです。こうした調査は、今後ともすでに調査した退役軍人と女性兵士に関して、さらに続けられるべきだと研究者は述べています。
現段階でもPTSDと心臓発作の関係は立証できたと考えて差し支えないと考えられます。世間は、傷痍軍人への手当を身体の傷を治療することだけと思いがちですが、それだけでは済まないのです。
また、警察官採用についても応用されるべき情報だと、私は考えます。最近、ニューヨークでアフリカ系男性が警察官に50発もの弾丸を浴びせられて死亡するという事件が起こりました。調査の結果、男性は犯罪とはまったく無関係でした。この事件に関与した警察官に従軍経験がなかったかと確認すべきだと思います。時々、アメリカでは警察官による明確な過剰攻撃が起こります。従軍経験がある人が警察官に採用されることは珍しくありませんが、PTSDによって銃を撃ちたがる者をパトロール警官に採用するのは危険だと考えるべきかも知れません。SWATには特殊部隊経験者が採用されますが、やはり長期間の任務に就いた経験がある者は採用すべきではないと思います。そのために、軍が記録を開示して、志願者が激しい戦闘を経験していないかを確認すべきだと思います。後方支援部隊に勤務し、射撃の訓練を受け、戦闘の経験がない者はむしろ的確かも知れません。PTSDは長期間緊張を強いる戦場にいた場合に起こります。そうした人を警察が採用する場合、武器を使わない部署に配置し、そこの責任者にこうした事情を徹底し、緊急で応援が必要になった場合でも、彼らを出動させないようにすべきです。