ハディーサ事件に関して、新事実が出てきました。
ワシントン・ポストが証言と証拠から事件の詳細を再現しました。
その記事は、ウートリッチ伍長が部隊を自ら率いて、イラク人を殺害したことを明らかにしています。そして、記事やイラスト地図を見る限り、彼らの行動は戦術的に意味のないものに見えます。
目撃者によると、ウートリッチは、まず現場に向かってきたタクシーを止めて、乗っていた5人(運転手1人、学生4人)を降ろすと射殺し、別の海兵隊員が止めを刺しました。この目撃者はウートリッチが指揮する輸送隊にいたイラク兵、アサド・アメル・マシュート軍曹(26)です。彼は、海兵隊員が叫び声をあげ、狂ったように振る舞っていたと語っています。その後、彼らは周囲の家に侵入し、住人を殺してから戸外に運んで放置しました。
航空写真を見ると、海兵隊員はなぜかIEDが爆発した場所から最も近い、30m程度の距離にある大きな家には入らず、もっと遠くの60mは距離がある家に押し入った後で、道路の反対側の遠くにある家に押し入って殺戮を繰り返しています。武装勢力がその家に入ったことを目撃したのでない限り、このような動きは歩兵の戦術にかなっていません。
タクシーに乗っていたイラク人を撃ったのは、明らかに交戦規則に反しています。降車させた時点で小銃などを持っていないことは確認できたはずですから、腹這いにさせて小さな武器を持っていないかを確認する必要がありました。それを省いて発砲したのは殺人にあたります。
被告たちの弁護士は、戦闘のカオスが原因だと主張していますが、今回出た資料を見る限りは、まともな歩兵戦闘ではなかったと判断するしかありません。このような状況では、応援を呼ぶと同時に、発煙弾を使うなどして現場と周囲の視界を遮り、死体と負傷者を回収して、直ちに現場を立ち去るべきだったと考えられます。
さらに、同紙の別の記事によると、アンドリュー・A・ライト上等兵など、数名の海兵隊員が事件直後に現場の写真を撮影していたことが明らかになりました。米本国に送り返されたラップトップやプレイステーション用メモリから削除されたファイルが復元されるなどして、海軍犯罪捜査部が事件から数ヶ月後に発見したのです。ライト上等兵は、当時はこれが事件になるとは確定していませんでしたが、将来必要になるかも知れないと考えて保存していたのです。この写真は事件の報告書に含められています。これらの中には殺された子供たちの写真があります。写真の一部は記事の中に掲載されていますが、この写真はアメリカ国内に大きな反響を巻き起こすでしょう。