ソマリアのテロ基地攻撃の続報

2007.1.9



 ソマリア攻撃の続報が入ってきました。

 military.comによれば、攻撃は10日午後、ソマリア南端、ケニア国境に近い孤島バドマンドゥ(Badmadow)のラス・カムボニ(Ras Kamboni、下の地図ではRass Kaambooni)のテロリスト・キャンプに対して行われました。投入したガンシップは少なくとも1機とだけ説明されました。何人を殺害したかは不明ながら、多数なのは間違いないと発表されていますから、ガンシップから撮影した映像だけで戦果を確認しているようです。アメリカとしては、テロ容疑者の生死を確認したいでしょうが、ソマリア政府かエチオピア軍に協力してもらう予定だと考えられます。

 これでかなり見えてきた気がします。目標は1発のミサイルで破壊できるようなものではなく、そのためにガンシップ(恐らく数機を使用)を投入したのでしょう。ガンシップには精密な照準装置があるので、それで人間の姿を確認しながら攻撃したのでしょう。しかし、容疑者と他のテロリストを見分けることはできないので、キャンプにいる者はすべてテロリストだとみなし、皆殺しにしたのだと思います。最初に船を破壊し、逃走の手段を奪ってから施設の設備と人員を攻撃したのでしょう。場所が孤島でも、用心して兵士を送り込むことはしなかったようです。これは妥当な判断でしょう。ソマリア政府に死体を回収してもらい、専門家が派遣されて身体的特徴を調べたり、死体のDNAを採取するなどして、容疑者を殺害したかどうかを確認することになります。

 それから、別の攻撃がアファマドゥ(Afmadow)の東48km(30マイル)、最初の攻撃の北249km(155マイル)でも行われたという報道もあります。目撃者は、この攻撃で4歳の息子が死んだと語りましたが、情報の真偽はまだ確認されていません。また、爆発音が14回聞こえたと言います。しかし、この証言はエチオピア軍などの攻撃の可能性の方が高いと、私は思います。あまりにも内陸に入り込みすぎており、いくらイスラム法廷会議が対空ミサイルを持っていないと考えられるとは言え、航空機は事故で墜落することもあります。どのタイプのガンシップが使われたのかは定かでありませんが、榴弾砲を持つガンシップでも、その射程は数十kmに過ぎません。200km以上内陸まで航空機を入れるとは、この段階では考えられません。また、攻撃を受ける側からガンシップが見えるわけではなく、ガンシップの攻撃と通常の砲撃と見分けはつきません。

 しかし、今後、アメリカがさらなる武力攻撃を行う可能性はあります。米第5艦隊の空母アイゼンハワーと艦船3隻がソマリア沖合に向けて航行中です。必要がない限り、これらが実際に使われることはないでしょう。

ソマリア地図 右クリックで拡大できます。
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