先に大統領が署名して決まった戦域で働く民間人を軍法で裁く法改正は憲法違反の恐れがあると、ワシントン・ポストが報じました。
アメリカの法曹界では、軍法による民間人への有罪宣告は無効で、この半世紀間で実例がないというのが常識です。そのため、実際に裁判が起きると、憲法が争点にのぼりかねません。この点をもっと議論すべきだったのに、法案は大した議論もなく議会と大統領を通過してしまったのです。
記事がいうように、100,000人もの民間人がイラクで活動しているのに、3年半で一人も起訴されませんでした。これは起訴をする立場の者がいないことを意味します。民間軍事企業(大抵は支社だけ。本社は外国で法人税がただの国に置かれています)がある地域の検事が犯罪の証拠をつかむ可能性は低く、たとえ証拠をつかんでも有罪にできる見込みがないとか、捜査にあてる予算がないとかの理由で動かない可能性が非常に高いのです。その点、軍の司法組織は戦場にもいますから、証拠をつかむ可能性が高いわけです。
この問題を考えるには、アメリカの法律専門家の手助けが必要です。この憲法解釈が生まれた過程から調べ、民間軍事企業の実情を踏まえて結論を導き出さなければなりません。あるいは、最初に行われる民間人の裁判に注目する手もあります。どのような扱いになるのか、今後も注目していきます。