現役軍人がイラク撤退を議会に嘆願

2007.1.17



 現役兵士が議会にイラク増派に反対するための嘆願書を提出するために、マーティン・ルーサー・キング・Jr.の誕生日にバージニア州のノーフォークに集まったと、military.comが報じました。遂に、現役兵士までが具体的な行動を起こして、イラク戦争に反対し始めたのです。

 現役兵士20名とその支持者100名が集まり、嘆願書を提出する準備をしました。この嘆願書には現役兵士1,000名以上が署名し、議会に送られるということです。公務員が政権を批判することは禁じられるのが常識ですが、アメリカでは軍内部密告者保護法(the military whistle-blower protection act)によって、議会への嘆願書は除外されています。なるほど、この手があったかと思いました。ペロシ下院議長が、イラク増派の際は予算を承認しないと宣言していますから、この嘆願書は議会の動きを活性化するでしょう。久しぶりに議会と大統領府の主導権に関する議論が起こりそうです。

 1,000人といえば、1個連隊程度の人数になります。これはブッシュ政権にとって痛手でしょう。もっとも、大統領が気にするかは分かりません。「何があっても増派はやる」と公言している大統領ですから、嘆願書くらいでは参らないでしょう。しかし、米議会と米国民には強いプレッシャーとなります。どのような軍人が署名したのかを詳しく知りたいと思います。イラク帰還兵か、それ以外の兵士かなど、内訳が分かれば興味深いと思います。

 日本にも、こうした制度が欲しいと思います。日本の法律の教育はあまりにも教条的で、現役自衛官が政権を批判する余地はまったくありません。警察官の世界もそうですが、風通しの悪さは改善されて然るべきです。憲法改正議論しか政治の主要テーマにないことには焦燥感を覚えます。

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