久間防衛大臣の発言について

2007.1.28



 久間章生防衛大臣の沖縄海兵隊基地移転問題に関する発言について、与野党から批判が出ているようです。

 私は、久間氏は珍しく安心してみていられる防衛大臣だと思っています。石破茂氏には何度も絶句させられるような珍発言があり、額賀福志郎氏は北朝鮮のミサイル実験での発言に問題がありました。それに比べると久間氏は、熟慮した上で、自分の言葉として意見を述べることが多いと感じています。以前に防衛庁長官に就任した時は、久間氏にはさほど記憶に残るものがありませんでしたが、今は違っています。的はずれな発言がないだけでなく、アメリカのイラク侵攻に疑問を呈し、沖縄の基地移転問題では地元の意向を尊重すべきだと発言しました。このような防衛大臣(及び防衛長官)は珍しいことです。

 久間氏のホームページに司馬法という古典が引用されています。

 国雖大、好戦必亡。
 天下雖安、忘戦必危。

 (国が大きくても戦争を好めば敗北する。天下が安泰でも戦争を忘れれば危険である)

 この金言は現代にも通じるものがあります。こんなことを言う政治家は珍しいと思います。久間氏が特別に傑出した防衛大臣かは分かりませんが、少なくとも大きく外すことはない大臣だと評価することはできます。

 久間氏に関連する政治団体の事務所がマージャン店になっているという週刊誌報道がありますが、久間氏は自分とは関係のない団体だと反論しています。しかし、これを機会に与党内に久間氏を大臣を辞めさせるべきだという意見が出かねません。その後に、誰が座るのかが気になりますが、久間氏以上の人材が与党にいるのか、あるいは民間から起用できるのかは疑問です。それでも、安倍総理の判断はアメリカ追従と決まっていますから、イエスマンを防衛大臣に据えることはほぼ確実でしょう。国家戦略の見地から発言しても、アメリカと対立する意見だと批判される傾向は、ますます強くなっていくようです。

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