先日、米海兵隊の退役将校と電子メールをやり取りしました。向こうから来たメールの末尾に、日本のアフガニスタンでの協力に感謝すると書かれていました。彼の息子が現在、2度目のアフガニスタンでの任務に就いているというのです。
福田総理は近日中に新法を閣議決定し、議会に諮るとしていますが、現段階では方針は決定していません。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、防衛省の増田好平事務次官から給油継続への賛成を要請され、その際、増田氏は「(アメリカには)アフガニスタンのために給油すると言ってあり、それ以外に使うはずない」と述べたということです。この問題は、今度の国会で大変な議論になります。防衛省が変な自信を持っているのが、私には不思議です。先日、紹介したように、給油した燃料は不朽の自由作戦以外に使われていることは間違いありません。防衛省がアメリカに照会しても、望むような情報はもらえないでしょう。先日、石破茂防衛大臣がテレビ番組で「これまで何度もアメリカに問い合わせたか知れない」と述べていました。これが本当なら、石破氏が防衛長官だった頃に何度問い合わせても答えがもらえなかったことになります。アメリカはテロ特措法の主旨にほとんど頓着していないように思われます。一方で、町村信孝官房長官は「どの船に行くのか、どういう作戦に使うのかを確認している」と述べています。それならば、その情報を公開すればすべて解決することになるはずです。一体、どちらが本当のことなのでしょうか?
「キティホークが米海軍の補給艦を経由して補給を受けた」という事実は、政府の説明が正しくないことを暗示しています。海自の補給艦「ときわ」がいるのはパキスタンの南方沖合のはずで、陸上からのミサイル攻撃を受けず、補給に都合がよい海域を回航していると考えるのが合理的です。2003年2月にイラク作戦に参加していたキティホークは、ペルシャ湾内でクウェートに近い場所にいなければなりません。地図を見れば明白ですが、海自の補給艦とキティホークの距離は、少なくとも1500km離れていることになります。キティホークの最大速度は約時速56km(30knot)なので、海自艦にたどりつくまで1日以上かかります。往復2日間と補給作業にかかる時間を含めると3日間近くも、航空作戦に制限が生じます。そこで、米海軍の補給艦が仲介を行う必要が出てくるわけです。防衛庁の人たちは、このことに気がついていないのか、知っていてとぼけているのか、いずれなのでしょうか。
この想定が正しいならば、与党の主張は最初から崩れていることになります。しかし、防衛省も防衛大臣も、必ず自分たちが正しいことを証明できると信じているようです。どうやら、とてつもなくヘンテコな国会になるような予感がします。日本人同士が、お互いにとぼけ合う事態は避けて欲しいものです。
追加
記事を掲載したあとで、「ピースデポ」の発表を読みました。これを見る限り、政府の答弁はまったく成り立たないことが分かります。ピースデポの情報によると、ときわがいた場所はイランとオマーンの中間にある海域で、横須賀からペルシャ湾に向かったキティホークに給油しており、キティホークはその後、クウェート沖合に進出しました。これは明らかに、イラク作戦を支援するための行動です。これはピースデポのお手柄です。ぜひ、発表文を直接お読みください。公開情報だけでもこれだけのことが分かるのです。防衛庁がいかにいい加減なことを言っているかということです。