昨日、石破防衛大臣は、「キティホークがペルシャ湾に入ったからと言って、直ちにイラク作戦に従事したとは言えない」と答弁しました。しかし、逆に言うなら、イラク作戦に従事しなかったとも言い切れないことになります。これでは答弁としては不十分です。軍事常識から言えばキティホークはイラク作戦に従事したと考えるのが正当です。
昨夜、米政府はキティホークはときわから給油を受けた後の3日間、アフガニスタン作戦(Operation Enduring Freedom: OEF)に従事していたと回答してきましたが、非常に疑問です。給油直後ならともかく、3日後にペルシャ湾奥深くに入った時点でも、アフガニスタン作戦を実行していたとは考えにくいものがあるのです。アメリカの回答文の原文を読んでみたいと思います。
日本ではイラクでの作戦がOIF(Operation Iraqi Freedom)、アフガニスタンのがOEFと説明されていますが、実態は違います。OEFがアフガニスタン作戦だとは誰も明言していないのです。ブッシュ大統領が宣言した世界規模のテロとの戦いの中で、イラク作戦以外がOEFとされているのです。その中で、アフガニスタン作戦は「Operation Enduring Freedom - Afghanistan (OEF-A)」であり、他には次のような作戦があります。
- Operation Enduring Freedom - Philippines (OEF-P)
- Operation Enduring Freedom - Horn of Africa (OEF-HOA)
- Operation Enduring Freedom - Trans Sahara (OEF-TS)
- Operation Enduring Freedom - Pankisi Gorge
アフガニスタン作戦という言葉を米政府が使ったのか、日本政府やメディアが挿入したのかが気になります。仮にそうではなくても、ホルムズ海峡を通過するあたりでは、空母周辺の船舶を警戒していたでしょうから、それをOEFに従事していたと表現していると考えられます。OEFは名前の通り、自由を侵すテロリストとの戦いを意味しており、地域を制限していないのです。
日本政府はこの米政府の回答を根拠に、イラク作戦への転用を否定するつもりでしょう。しかし、これでは疑惑は深まるばかりです。
なお、米政府は、給油を受けたのは正確には68万ガロンであり、キティホークの3日分の燃料にあたると回答しました。これは石破大臣が昨日の国会で説明した、20万ガロンは1日分の燃料だという説明に近いものです。艦船の燃料消費は積載物の重量や船体の状態、気象条件により大きく変わるので、こういう説明でも不合理ではありません。