トルコが米下院決議を批判

2007.10.16



 military.comによると、トルコの将軍が、米下院で行われている第1次世界大戦時のトルコによるアルメニア人虐殺非難決議を批判しました。ヤサル・バユカニト大将(Gen. Yasar Buyukanit)は、「この決議が下院で承認されたら、アメリカとの軍事関係は二度と同一にはならないであろう」と述べ、補給支援の削減を示唆しました。

 これは口だけではありません。記事によれば、トルコは昨年、フランス下院が同種の決議を行った時、フランスとの軍事協力を一時停止しました。1975年に、キプロス紛争のためにトルコへの武器輸出禁止令を出した時、トルコは補給支援と情報の共有をすべて停止しました。トルコが補給支援を停止することが、どれだけ重要かを示す数字が記事に書かれています。米軍の空輸の約70%がトルコを通過してイラクへ行き、トルコは米軍に約3分の1の燃料を供給しています。水その他の補給品はトルコ人の運転手によって運ばれています。トルコが米軍との協力を拒めば、米軍は補給計画を大幅に変更せざるを得なくなり、それには大変な手間と費用がかかると推測できます。

 こうしてみると、これはPKKへの攻撃に対する米国の警告を牽制するのが目的ではなく、本気で非難決議を阻止しようとしているのだと考えられます。駆け引き目的とは考えられません。

 なお、この記事にはPKK幹部にその本拠地でインタビューしたことも書かれています。その場所は、イラク=トルコ国境にまたがり、北部イラクの町、スライマニヤ(Sulaimaniyah、地図上ではAs Sulaymaniyah)から約94マイル(151km)離れたクァンディル山脈(Qandil mountains)の奥とのこと。地図では「Khasiu」付近と考えられます。別の資料では、この山脈はイラク、トルコ、イラン国境沿いにあるとのことで、やはり「Khasiu」付近であることを示唆しています。先日、この戦いが「息の長い“いたちごっこ”」になると書きましたが、PKK指導者は「侵略はトルコにベトナム戦争を経験させるだろう」と息巻いています。北部イラクは険しい山岳地帯です。先日、トルコ軍が砲撃を行った場所は他にもあり、PKKは広範に活動しています。キャンプを破壊しても、また新しいキャンプが作られることでしょう。


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