military.comによると、子供用の玩具「Silly String」が、いまイラクで必要とされています。缶からプラスチックの糸をエアゾルで約3.6m飛ばす玩具で、これを使って爆弾を起爆するワイヤを見つけるのです。
最も簡単な仕掛け爆弾(ブービー・トラップ)は、手榴弾を固定し、その安全ピンに細いワイヤを結びつけ、兵士が通る場所にワイヤを張って固定します。兵士がワイヤに気付かずにワイヤを引っかけると安全ピンが抜け、手榴弾が起爆状態になり、約4秒後に手榴弾が爆発するのです。同種の仕掛けは手榴弾だけでなく、砲弾などを利用しても作れます。
兵士が家屋を捜索する場合、室内に「Silly String」を噴射して、糸が空中に張られたワイヤに引っかかったら、仕掛け爆弾があると分かります。ある兵士が、「Silly String」の思わぬ使い方に気がつき、母親に送ってくれるように頼んだことから、母親が「Silly String」をイラクに送るキャンペーンを始めました。エアゾル缶は危険物になるため、輸送に協力してくれる会社を見つけるには数ヶ月かかったのですが、このたび、8万缶の「Silly String」を送ることが決まったのです。
この活動は母親にすれば当然の行動で、称賛するに値します。しかし、軍事を観察する立場としては、兵士たちが仕掛け爆弾に苦労していることを読み取らなければなりません。米国防総省の発表には、路肩爆弾も仕掛け爆弾も「IED」と書かれており、「booby trap」という言葉は使われません。だから仕掛け爆弾がどの程度使われているのかは分かりません。しかし、こういう話が出てくる以上、事例は少なくはないと考えなければなりません。ごく単純な仕掛け爆弾が未だに有効で、ハイテク装備の軍が悩まされていることに注意が必要です。