20万ガロンがキティホークに給油されたことが最初に問題になった時、福田官房長官(当時)は「20万ガロンは1日分の使用量で、これではペルシャ湾に行けるほどではない」と説明しました。前の記事で説明したように、全速力で航行すれば1日くらいでクウェート沖合に行けます。燃費の面から見ても、20万ガロンなら約2日間は航行できます。それに今回明らかになった情報により、日本政府の説明は完全に崩れました。
与党が予定する新法の特徴が報じられました。以下のような内容です。
- 海自などの海上阻止活動に謝意を示した9月の国連安全保障理事会決議1776を法律の目的に明記。
- 国連決議に加え、海自の活動がテロ防止だけではなく、アフガニスタンの人道復興支援に資することを明記。
- 活動内容は、油と水の補給に限定。
- 現行法にある捜索救助や被災民救援は削除。
- 主な活動区域は「ペルシャ湾を含むインド洋」とする。
新法の「ペルシャ湾を含むインド洋」という部分が国民の理解を得られるとは思えません。パキスタンの沖合はアラビア海で、インド洋はそのさらに南です。インド洋と決めると、アフガニスタンにまったく関係のない海域、たとえばアルカイダが介入しているソマリアの沖合で活動することもできるようになり、アフガニスタンを支援するという目的から逸脱します。また、ペルシャ湾を含めるのは、最初からイラク作戦に参加する艦船に補給することが疑われても仕方がありません。やはり、与党は最初からイラク作戦に参加できる新法を考えているのです。そうすることで、海外に日本の存在感を示すところに新法の意味を与党は見ているのです。これを国民がどう判断するのか。これからの国会の議論がどうなるのか。目を離せなくなってきたと感じます。
アメリカでは、イラクからの撤退だけが問題とされていますが、日本では、洋上給油だけが問題にされています。しかし、真の問題はテロの拡散を抑えることです。肝心の問題には誰も目を向けていません。自分の目標を直視しているのがオサマ・ビンラディンだけでは、勝者は彼だけということになります。