先日、テレビで石破茂防衛大臣が、「我々は不眠不休の努力で、必ず給油した燃料の転用がないことを証明する」と訓示しているのを見ました。しかし、アメリカが「転用がないとの完全な証明はできない」と回答したことから、石破大臣の希望は潰えました。防衛庁の職員にすれば、そんな検証は無駄だし、止めて欲しいと思っているかも知れません。私も最初から、この調査はうまく行かないと確信してきました。
額賀氏が大臣だった時に起きたテポドン2号などのミサイル発射についても、アメリカの反対で詳細は公表されずに終わりました。今回の洋上給油の問題もそうですし、守屋前事務次官の接待疑惑も、石破氏は話を聞くとしていますが、守谷氏が拒否すれば強制的できませんし、実現しても話を聞くだけで終わるはずです。石破氏が「何かをやる」と言っても、意味のあることは実現された試しがありません。イラク派遣の前にイラクに行くと言ったのも実行されずに終わりました。これだけ負の実績が積み重なると、そういう人なのだと解釈するほかありません。
19日に行われた石破大臣の記者会見で、石破氏はこう言っています。消極的賛成派であり、積極的な実践者ではない石破氏の性格をよく表していると、私は考えます。
これは従来から申し上げているとおり、唯一の同盟国ですから、そして信頼関係に基づいて、今日の日米関係があるわけですから、合衆国のいろいろな考えの表明を信用するということは当然政府としてあるべきことだと思います。ただ、合衆国が言っているからそのまま信用しますということでは足りなくて、やはり合衆国から提供された情報、我が方のいろいろな記録、そういうものを照合して本当にそうだということを可能な限り検証していくという姿勢を私は取りたいと思っています。
要するに、テロ特措法はザル法だったのです。交換公文を取り交わせば、燃料が用途以外に使われることはないという発想そのものが安直でした。間接給油の可能性は、法律を作成した時点では、誰も考えなかったということです。だから、いま言われているような問題が起きるとは、誰も考えなかったのです。私も、間違いなくアフガン作戦に使われるという確証はないだろうと、漠然と考えたことはあるものの、間接給油については頭に浮かびませんでした。しかし、我々は願わくは事前に思いつくべきなのです。戦争は霧の中でするギャンブルです。見えないのだから仕方がないでは済まされない事情があるのです。
19日の記者会見では、石破氏の統率能力に疑問を感じざるを得ない発言もあります。
Q: 守屋氏の問題で、守屋氏から確認するという趣旨のことを最後におっしゃいましたが、それは防衛省としてどなたかがお話を聞くということでしょうか。
A: それは私として今そう思っているということを申し上げました。ですから、既に退官された方でもあるので、今在職中の方であれば、それなりの手続きというものがあるのだけれども、現時点に於いてまだ報道だけということなので、そうすると、省として手続きに則ってというよりは、防衛行政をお預かりする私として、必要な確認をするためにどういう形が出来るのか、公式、非公式も含めて考えたいと思っています。防衛行政をお預かりする者として、この信頼というものをきちんとしたものにするために、そして守屋氏が「倫理規定が定められる以前のことであって、定められた後はしていない。」ということをおっしゃっているわけですから、このことについて「間違いないですね。」ということを、まず私としてやりたいと思っています。これは色々なやり方があるでしょう。
接待でゴルフや麻雀をする時に、賭行為がなかったとは考えにくいものがあります。接待する側は賭けをして接待を受ける者を楽しませ、わざと負けて賞金を渡すものです。倫理規定だけでなく、贈収賄の疑いがある話なのです。本来は、それも含めて厳しく追及したいと言うべきです。
Q: 守屋さんのゴルフの件は、これまで大臣には全然報告は上がっていなかったのでしょうか。
A: 「いつゴルフをしました。」ということでしょうか。上がっていません。実際にそういう倫理規定が定められた以前の話であるということですから、私に報告が上がるという機会は無かったのだと思います。少なくとも私は、守屋氏が休日何をしていたかということについて報告を受けたことはありません。
海兵隊員の婦女暴行事件についても、消極的な姿勢しか見えません。
Q: 在日アメリカ軍岩国基地の海兵隊員4人が、今月中旬広島市内で日本人女性を集団で暴行したとして、広島県警が今捜査をしていますが、これについてのご所見をお願いします。
A: これは現在捜査中のことですから、私が所見というものを申し上げる立場には無いと思います。ですが、これは沖縄に限らずだと思いますが、アメリカ合衆国としても、良き隣人でありたいということをずっと言ってきたわけで、そういうことが事実であれば、これは極めて遺憾なことだと思います。ただ、事実であるかどうかを今捜査中ということですから、予断を持ってものは申し上げられないということです。
記者会見の時点では、確かにまだ捜査中であり、身柄引き渡しが実現するかどうかはまだ確定的ではありませんでした。しかし、この日の夜には町村信孝官房長官が「事実であるならば、許されざることであることは論をまたない」と述べています。防衛大臣が真っ先に厳しい立場を取るべきなのは言うまでもないことです。こういう場合、政治家が率先して厳しいコメントを出すことは、海兵隊にも刺激を与えるものなのです。かつて、ルーズベルト大統領夫人だったと思いますが、海兵隊員の行動を公に厳しく叱責したことがありました。これは海兵隊に大きなショックを与えたと言います。これくらいのインパクトがある発言を防衛大臣はすべきなのです。防衛分野で積極的に人材育成をしてこなかったために、軍事オタクが防衛大臣になる時代を招いた自民党は反省すべきです。