今日、時事通信が楽観的な見通しを報じました。「両外相(トルコのババジャン外相とイラクのゼバリ外相のこと)が協調姿勢を明確にしたことで、トルコ軍が近日中に単独でPKKの拠点があるイラク北部に侵攻し、混迷が続くイラク情勢がさらに流動化するという事態は、ひとまず回避されそうだ。」。
ロイター通信が、この楽観的な観測を否定しました。同通信社は「21〜23日にかけて、300人規模の地上部隊がイラク側に約10km越境して、PKKのメンバー34人を殺害した」と報じたのです。攻撃の位置・規模からして、車両で兵士を運んでの攻撃と考えてよいでしょう。しかし、これは先日12人のトルコ兵が殺害された事への報復措置であり、議会の承認を得た本格的な越境攻撃とは別だということです。
いずれにせよ、トルコ政府がPKKの事務所が閉鎖されることくらいで攻撃を思いとどまることはありません。事務所を閉じても、トルコへのテロ攻撃が収まるとは考えられないからです。必ず、これからもっと大規模な掃討作戦が行われます。トルコ政府は「テロ組織とは取引しない」と宣言しています。この台詞は、もともとアメリカの十八番でしたが、今回はアメリカがトルコに「テロ組織と取引してくれ」と言う立場になったのは皮肉です。