military.comによれば、バグダッドで17人を殺害した事件で責任を問われていたブラックウォーター社に対して、米国務省は免責特権を与えることに決めました。国務省はこの決定について口を閉ざしています。
おまけに、BW社と国務省の契約は、いまだに5月に期限が切れたままになっていることも記事に書かれています。このことは既知の事実でしたが、そのままだったとは思いませんでした。もはや、法は無視され、国務省にもそれを正すことができないほど腐敗が進んでいるのです。このような状況で、イラク政府がBW社を排斥することなどできません。この戦争は、民間軍事会社を抜きにしては考えられなくなっているのです。当然、こうした動きを民主党は激しく批判してると、同紙は報じています。
最近、バグダッドに赴任したがる国務省の職員が減り、国務省は強制的に赴任させる方法をとっています。これは国務省の中にも、この戦争に対する疑問が広がり、イラク政策に関係することは自分のキャリアにとってマイナスになると考える者が増えていることの表れといえます。いずれ戦争は終わりますが、その後、民間企業に再就職するにしても、イラク政策で重職にあったことは企業の心証を悪くする恐れがあります。かつて、終戦後の日本に赴任したがる米政府職員が少なかったことがありました。当時、日本でのキャリアは米国内でほとんど評価されていなかったためですが、その後、日本は希望者の多い地域になりました。日本が重要な同盟国になり、問題が多発するために、やり甲斐のあるポストになったからです。
ところで、CNNによれば、週末にかけて大隊規模約800人のクルド人兵士がトルコ国境に向かったと米軍筋が述べたということです。情報源がPKKではなく、米軍であることから、この情報は信憑性が高いと考えられます。もはや、トルコとクルドの対決は避けがたいところまで来ています。イラク政策で重要な意味があることですが、今週の国会ではまったく触れられていません。洋上給油活動の可否について、同じ問答が繰り返されているだけです。すでに、国会のイラク議論は現状からかなり遅れたところにあります。アメリカの議会も同様です。国連もこれに同じです。どの国家、どの国際機関も、対テロ政策に成果があったことをこぞって強調したい心理に囚われています。戦国大名が旗を掲げ、主君に自分が馳せ参じていることを示し、「これで恩賞にありつける」と安心したのと同じことが繰り返されているのです。まっとうなテロ対策など、どこにもありません。表向きは国連が統括していますが、実態は各国ごとにバラバラに動いており、実質的には米軍が中心に動いています。ひょっとすると、アルカイダの方が統率力の点では上かも知れません。