10月の戦死者数は過去2番目までに減少

2007.10.31



 military.comによると、10月の米軍の戦死者は火曜日の時点で34人と、2006年3月の32人以来の低さで、2004年2月の20人以来2番目に低い数字です。また、この3分の1に近い10人の死因は非戦闘的理由でした。イラク国民の死者は900人を下回る見込みです。

 8月が84人、9月が65人、10月が34人と死者は減少傾向にあるものの、米軍は長期的傾向と結論づけるのは早計だとしています。米軍広報官によれば、死者が減った理由は、武装勢力を隠れ家から追い出したこと、兵士をより住民側に置く戦略に切り替えたことでIEDに関する情報が多数寄せられるようになったこと、マハディ軍の停戦をあげています。

 これらのいずれが主たる理由なのかを考えると、好意的に見れば「兵士を住民に近づける戦略の変更」と言え、悲観的に見れば「マハディ軍の停戦」だと言えるでしょう。先日解説したように、最近、IEDによる戦死者が減っています。イラク国民が進んでIED情報を通報するようになったということは、宗教指導者がそのように指示している可能性があります。イラク国民の自発的な行動だけでは、こうした顕著な変化は出にくいと考えられるからです。これは、宗教指導者が武装勢力を好ましく考えなくなったのか、アメリカが金を使って買収したのかのいずれかでしょう。

 最初は、見境なく殺していたのを止め、妥協策を探るのは、アメリカが過去に繰り返してきた行動パターンです。共産主義との対決でも、それを一切許さないという方針を限界まで貫き、その後は妥協策に転じるというやり方が使われました。日本は、このアメリカの最初の方針に追随したままです。そうする方がアメリカに不信感を持たれないと考えているのです。これは、日本が戦後繰り返してきた行動パターンです。昨日の国会での政府答弁を見ても、まさにこの典型的な意見が大勢を占めていました。しかし、アメリカの行動パターンを知っている者は、アメリカの行動を先読みできます。アルカイダも、そのことをよく知っているはずです。彼らが、次にどんな手を使ってくるかに注意しなければなりません。


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