軍事情報サイト「On Point」の編集長アンドリュー・ルビン(Andrew Lubin)が、military.comに民間軍事会社について厳しいコラムを寄稿しています。その中に、議会監督・政府改革委員会が公表した報告書の一部が掲載されていました。
- BW社は過去3年間に不適切な武器の使用、アルコールや薬物に関する違反行為、不適切な行動と暴力的な行為により122人を解雇ししている。BW社はダインコープ社とトリプルキャノピー社を合わせたよりも多くの発砲事件を起こしている。
- BW社はイラク人社員の7分の1を解雇してきた。この割合は彼らが雇用するに値する能力を持っていたかという問題を生む。
- BW社は2005年以来、週に1.4回の割合で、195件の発砲事件を起こしている。発砲事件の80%は「力のエスカレーション」である。BW社の警備員が第一弾を発射しているが、国務省はこれを防衛的な実力行使としか呼んでいない。
- BW社が発砲したほとんどの事例で、警備員は移動する車両から発砲し、死傷者が出たかを確認するために現場に留まることはない。
- BW社は車両に装甲を施すために費用が支払われているが、彼らはそれを懐に入れ、警備員を装甲の薄い車両に乗せ続けている。
ルビン氏は、過去2年間に15%の社員が解雇されていれば、ごろつきの社員が少なくないことになり、ごろつき企業ではないと結論するのは困難だと書いています。
民間軍事会社はかねてより、法律上の問題が指摘されてきました。その上、振る舞いにおいても極めて大きな問題が指摘されています。正直、ここまでとは思いませんでした。
イラクで元自衛官の警備員が武装勢力に殺害された時、特に若者の間に、彼を「プロ中のプロ」として称賛する声があがりました。しかし、軍隊について少しでも知る者なら、このような評価が妥当でないことは議論を要しません。退役した軍人が、ほとんど規則のない状態で、武力を用いる任務に就いているのです。開放感と恐怖感がないまぜになって、何をするか分かったものではありません。戦争をロマンチックに描く映画や劇画家、主に武器をテーマとした情報誌ばかりに目を向け、戦争が起こす問題に目を向けようとしない人たちには困ったものです。自分を鍛え上げたいという気持ちは理解しますが、軍事に通じてくると、どんなトレーニングをしても一発の銃弾は、その努力を上回ることが分かってきます。中国の戦略家・孫子がいうように「自分が戦うよりも、敵国同士を争わせた方が得」という汚い計算が働くのが戦争です。自分を鍛えたいなら、別の場でやるべきです。
将来、米軍がイラクから撤退しても、民間軍事会社は残存し、相変わらずイラク政府の警護を続けているかも知れません。