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民主党は小沢氏のイラク派遣論で一歩後退

2007.10.9



 民主党の小沢一郎氏がアフガニスタンへの自衛隊の派遣を主張したことに対して、自民党から批判が出ています。

 私は、これが小沢氏の弱点だと思います。かねてより、安全保障問題に関しては、有効な提言をすると同時に、それを無にするような発言で台無しにしてきました。今回もその一例という感じがします。

 ムジャヘディンのような自警組織があるところに、武力を持った部隊を派遣すること自体が誤りです。自衛隊は戦闘を目的とした組織であり、大規模災害の復旧ならともかく、治安維持任務は困難です。だから、アフガニスタンでの作戦がうまく行かないのです。

 目的が武力行使でなければ大丈夫というのは誤りです。軍隊には自軍や一緒に行動する外国の軍隊を守るために武器を使うことが、集団的自衛権の他に認められています。だから、治安維持の任務だけを命じたと思ってはならないのです。

 小沢氏の意見は、高村正彦外相や石破茂防衛相からの批判を浴びています。高村氏の、「国連決議があれば武力行使だっていい、国連決議がなければ後方支援はみんな駄目だという考え方は、政府の憲法解釈とは相いれない。」という意見は正論です。石破氏の、「小沢氏の理屈でいうと、国連に参加すると日本の主権が消えるらしい。」という意見は意味不明です。しかし、自民党に批判の余地を与えた小沢氏の主張は、給油新法に反対するための戦略として大失敗です。いまは、給油新法の問題だけをクローズアップすべき時です。それによって、民主党は自民党との違いを国民にアピールできました。小沢氏は自分の手でその違いを見えにくくしたのです。これで、民主党はスマートに国民にアピールする術を失ったと思います。

 米海軍は、海自艦から補給を受けた艦船がイラク作戦に従事したことはないと回答したようです。石破氏は「今、米国からいろんな資料を取り寄せて防衛省内で分析している。現時点で目的外使用はないという心証を得つつある」と述べ、できるかぎり資料を公開するとしています。先日、中央軍の副作戦部長が、日本が給油した燃料は不朽の自由作戦意外には使えないという指示を承知していないと答えています。おそらくアメリカには、このような燃料の使い道に関する問題は、そもそも念頭にないのです。ワシントン・ポストが掲載した記事は、問題の概要を伝えてはいるものの、2003年2月のキティホークへの給油については書いていません。イラクもアフガニスタンも同じテロとの戦いであり、艦船を分けて運用しなければならないとすれば、給油を受けない方がよいという考えでしょう。アメリカがどのような資料を公開したのか、防衛庁が何を公表するのかに注目し、日米両政府の思惑を読み取る必要があります。



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