spacewar.comが、トルコ=クルド戦争の見通しを報じました。それによると、越境攻撃は延期できるが、中止はできないとのことです。
現在、トルコはイラク政府の返事と、エルドガン首相のアメリカ訪問の結果を待っています。トルコはイラク政府にクルド労働者党(PKK)の活動を禁止し、経済その他の援助を打ち切り、その指導者を引き渡すことを求めています。前者2つは可能ですが、最後のひとつは実現されそうにありません。PKKの指導者は居場所が分からないため、逮捕できないのです。クルド人はいくつかのグループに分かれていますが、敵対するクルド人グループの指導者をイラクに引き渡す気はありません。それが深刻な内部対立を生み出すと知っているからです。
トルコは山岳地帯での戦いがうまく行かないことに気がつき、作戦の開始を延期しています。しかし、越境作戦を捨てることができずにいます。トルコは、ロシアがチェチェン共和国で行ったように、武器を捨てる者に恩赦を与え、経済開発に務め、他の市民と同じ権利を与えるという解決方法を真似する準備ができていないと記事は説いています。そして、パレスチナ、イラク、レバノン、スーダンなどの問題と同じように、国連安全保障理事会の協議事項とされるべきだとしています。
トルコが外交戦に切り替えていることを積極的に認めているのが、この記事の特徴です。確かにそのような動きはあります。しかし、トルコが戦争と外交のどちらをより検討しているかは、誰もが判断に迷うところでしょう。私はトルコは戦闘を選ぶ見込みの方が高いと考えます。同時に、この作戦には困難も伴います。PKKが姿を隠し、散発的なゲリラ攻撃でトルコ軍を悩ませるかも知れないからです。
記事が指摘しているように、戦いを選ぶよりも外交を選ぶ方が賢明で、よい結果を生むチャンスがあります。トルコがその道を選ぶのなら、軍事作戦で圧力を加えながら、イラクとアメリカに不完全でもよいからPKKの活動を抑制する処置をしてもらい、その上で国連に問題を預けるという手があります。PKKさえ同意すれば、あらゆる問題を協議する余地が生まれます。
私は、イラク政府のクルド人への影響力は小さすぎ、この策はうまく行かない公算が高いと見ます。5日以降、トルコ軍は越境攻撃する羽目になるのではないでしょうか。それを見極めるには、ホワイトハウスでの会談の結果とイラク政府の対応に注意を払うことです。