アルカイダがイラク北部へ移動か?
military.comによれば、テロ対策担当顧問フラン・タウンゼンドが職を辞しました。ブッシュ政権から人材の流出が止まりません。一方、イラクの武装勢力が同国の北部へ移動したという記事が報じられています。
military.comは、米陸軍マーク・P・ヒートリング少将(Maj. Gen. Mark P. Hertling)が、イラク北部の主要な都市にアルカイダの細胞が存在すると述べたと報じました。アンバル州から追い出されたアルカイダの細胞は東へ移動したので、その地域にいる部族はアルカイダに対抗するために連合軍と同盟しました。そこで、アルカイダは北部へ移動し、激しい攻撃を続けています。しかし、その数と規模は減少し続けています。ヒートリング少将の担当区域では6月に1,830件あったIED攻撃は、先月は900件に減りました。ヒートリング少将は北部にいるアルカイダの人数を述べることを断りましたが、最近始まった作戦では、200人を逮捕したと述べました。少将は、戦いはまだ途中であり、完了するまでにはまだ激しい戦いが必要だと述べています。
これまでの報道と、この記事を総合すると、アルカイダは規模を縮小しながら北部へ移動していることになります。すでにアルカイダがアンバル州の東へ移動したことは知られていましたから、そこからさらに北部へ移動したのは、活動が難しくなってきたことを意味すると見て差し支えありません。これが本当なら、よい徴候だと言えます。ただ、正規軍との戦いと違い、アルカイダを掃討すればそれで終わりという話ではないことに注意が必要です。ヨーロッパの場合、権力中枢を破壊すれば戦いは終わりますが、中東では常に部族対立があり、その圧力によって状況が急変します。マハディ軍が活動を再開したらどうなるのか。イラクが介入の度合いを強めたらどうなるのか。米軍の撤退が本格化したら…。問題は色々あります。選択肢は多く、結末を予測することは困難です。