レーザー照準型迫撃砲弾が実戦配備へ
marine-corps-timesによれば、歩兵センター(The Infantry Center)は10月中旬に「来年後期までにイラクとアフガニスタンの歩兵旅団戦闘団に120mm精密誘導迫撃砲弾(Precision Guided Mortar Munition)を導入するように陸軍高官に勧告しました。
開発中のPGMMは7km以上離れた敵に対して、誤差2m内に着弾します。通常、着弾点を修正しながら目標に命中させるには半ダース程度の砲弾を使用します。それが1〜2発の砲弾を費やすだけで命中が望めるようになったのです。米陸軍はこれで民間人の犠牲者を減らせると主張しています。これは照準した相手が間違いなく武装勢力であった場合であり、民間人を武装勢力を誤認した場合は、より誤爆しやすいわけで、疑わしい話です。
PGMMはレーザー光線で照準した目標に向けて落下します。航空機の精密誘導弾の迫撃砲版だと考えると理解できます。通常の迫撃砲弾は発射されたあとは放物線上を飛ぶだけですが、PGMMは発射後に4つのフィンを展開し、これを最適な角度に動かすことで弾頭を曲げ、より精密に着弾するのです。
すでに、イラクにはGPS誘導型の榴弾砲弾エクスカリバーが配備されています。これは155mm砲弾で、最大30km離れた場所に10m以内に着弾するという高精度な砲弾です。歩兵旅団戦闘団には120mm迫撃砲と105mm榴弾砲しか配備されていないので、155mm榴弾砲部隊を歩兵旅団に編入するか、PGMMを実戦配備するかの選択が必要となりました。アフガニスタンで現在行われている戦闘は山岳地帯が多く、砲弾を運搬する必要からより軽量の迫撃砲弾が選ばれたのでしょう。
問題はPGMMが一発9,000ドルもすることです。砲弾としては高価すぎます。このため、昨年12月に米議会はPGMMへの開発予算を打ち切っています。これから米陸軍と議会の折衝が始まることになります。
こうして戦費はどんどん増えていくのです。国内を戦場とする陸上自衛隊も将来欲しがりそうな砲弾です。兵器の高額化は医療用器材の高額化に似て、天井知らずのようです。しかし、兵士や民間人の命を救うといわれれば、誰も反対できないわけです。